essays 【エッセイ】秋の瞬間。 2021年11月9日 夕方6時を過ぎれば、虫の声が聞こえてくる。 耳を澄ますと、人の声、足音、物と物とがぶつかる音が混じって聞こえる。 なんと心地いいのだろう。 今私はとても豊かな時間を過ごしている。 目を閉じると、これまでの、 ここまで来た道がふと思い出され、 自分が思っている以上に、 恵まれた幸せな人生を歩んでいる。 今この瞬間がうれし... fujikawa
essays 【エッセイ】新しい春。 2021年4月4日 春の陽だまりを歩いていると、 ふと思い出す光景があります。 それは、見知らぬ新しい場所でオロオロしている自分であり、 ちょっと年を取って多少厚かましくなったけれども 相変わらず、見知らぬ新しい場所でオロオロしている自分。 何のことはない、 いずれも、期待と不安を胸に抱いている入学式の風景なのでした。 日本人にとって春は... fujikawa
essays 【エッセイ】冬の室内 2021年1月28日 どちらかと言うと、内向きな性格ということもあるからでしょうか。 暖房の効いた部屋の中がとても好きです。 冬場は家にダラダラいる姿が様になってとてもありがたいですね。 、 昼がさり、ぼんやりテレビを眺めていると、 人が行き来する音が聞こえてきて、 時には子どもの声なんかも混じってくる。 ふと外をのぞくとそこに人がいる。 ... fujikawa
essays 秋の声 2020年9月19日 秋をどこで感じるか。 そう問われれば、 虫の声という答えが一定数に上るだろう。 秋の、静かな夜。 いつの間にか、耳が虫の声があるに気づく。 昼間どんなに暑くても、季節の移り変わりを知る。 音で秋を感じるのだった。 秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる なんてね。 秋を知るは、耳がとても大事な... fujikawa
essays 【エッセイ】明日は何を差していこう。 2020年6月15日 自分を演出するための一つの道具として、 万年筆の力を頼ることがある。 100円のボールペンで事足りるところを、 敢えてその100倍もする万年筆を持ち出し、字を書いて見せる。 100倍の仕事ができるわけでも、 100倍の魅力を発せられるわけでもないが、 何か違うと思わせられるには十分である。 ……なんて、実際はそんな効果... fujikawa
essays 【エッセイ】夏服と万年筆。 2020年6月4日 このごろますます暑くなってきましたね。 6月は、衣替えの季節でもあります。 人によっては5月の中旬も過ぎれば上着を着なくなるのですが、 私の場合はどうしても暑くて仕方なくなるまで上着を着ます。 というのも、万年筆(に限らずボールペンも同様なのですが)は、 内ポケットから出して使いたいと思っているからです。 まさに文字通... fujikawa
essays 【エッセイ】万年筆は3度うれしい。 2020年5月15日 万年筆を持つ喜びは、概ね3度訪れる。 1度目は初めてその万年筆を手にした時。 単純に所有の喜びである。 気に入った万年筆を見つけ、購入の意志を固め、 その万年筆を自分のものとした時、気持ちはとても高揚する。 2度目は、その万年筆で字を書いた時。 自分のものとした万年筆を箱から取り出し、 インクをセットして 紙の上にペン... fujikawa
essays 【エッセイ】この景色。 2020年4月6日 人間というのはつくづく習慣の動物だと気づかされます。 気づいたら、同じ時間に同じ道を歩いていて、 その景色には、代わり映えがありません。 でも、ちょっとした都合で、 普段はこの町にいないはずの時間に、 同じ道を歩いてみる。 すると、どうでしょう。 全然違うのですね。 人も、息遣いも、声も、違う。 同じ町なのか、というく... fujikawa
essays 【エッセイ】春の陽。 2020年3月19日 日差しが熱を帯びてきたとき、 春が来たなと感じます。 春の日差しは温かい。 そこには確かに熱があって、 体はもちろん、景色までも温めてくれるみたいです。 だからでしょうか、春の景色は柔らかく、 きりりとした表情はないものの、 丸みを帯びた優しさがるように思えてきます。 なんてね。 この歳にもなれば、春だから、といって、... fujikawa
essays 【エッセイ】とどめておきたい風景を書く理由 2020年3月1日 知らず知らずのうちに、いい風景と出会う時があります。 それは、風景というよりは、瞬間瞬間の ほんのふとした個人個人の「思い」であることが多いかもしれません。 いつもと同じ道を歩き、同じ景色を見ているはずなのに、 違って見える、違って見えるように感じる。 ちょっとした感動を味わいます。 時にはふと、昔のことを思い出します... fujikawa