【万年筆】モンブラン マイスターシュテュック146

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今回ご紹介するのは、万年筆の王道中の王道、モンブラン(独)のこれまた定番中の定番、マイスターシュテュックです。モンブランは高級感・知名度という点で、同じく万年筆の王道メーカー、ペリカン(独)、パーカー(英)をもしのぐ存在と言えるのでしょう(優劣はつけがたいですが)。天冠(キャップの一番上)の白のスターマーク(六角形の星形)が言わずと知れたアイコン。特別な説明をすることなく「モンブラン」であることを主張してくれます

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モンブランを高級たらしめるもの

モンブランは1906(明治39)年の創業で、2020年で114周年を迎えます。もっとも「モンブラン」の社名を使いだしたのは、1911年ごろだったとか。モンブランはヨーロッパアルプスの最高峰で、標高は4810.9メートル。ペン先には「4810」と刻印されています。シンボルのスターマークは、山頂の雪景色をモチーフにしたと言われています。

日本に輸入されたのは1963年ごろです。当時から「高級筆記具」とのランドイメージで、大変な人気を集めたと言います。ただ、モンブラン単体では市場で生き残るのが難しかったようで、1977年に高級ファッションブランド、ダンヒルの傘下になりました。その後、ダンヒルがヴァンドームラグジュアリーグループに、ヴァンドームラグジュアリーグループがスイスのリシュモングループに、それぞれ買収されるという経緯を得て、1998年からリシュモングループの一員となっています。同グループは傘下にダンヒルをはじめ、カルティエ、ラルフローレンなど、一流ブランドが名を連ねています。

その関係もあり、モンブランは現在、万年筆やボールペンの筆記具以外にも腕時計、革製品、フレグランス、アクセサリーなど総合ファッションブランドとして展開しています。モンブランと言えば、私などはどうしても筆記具を想起するのですが、売上の6割を占めるのは筆記具以外となっているようです。

モンブランにとってハイブランドというイメージは非常に重要で、実は一時期、エコノミーラインの万年筆も製造・販売していたのですが、現在はいずれも高級ブランドにふさわしい販売戦略がされています。一言で言うと非常にお高いものばかりです。

万年筆も10万円を超えるものが多いですし、下限でも5万円はします。「リーズナブルに買えない」ということがとても重要で、だからこそ、モンブラン=ハイブランドが確立され、どの製品を持っても、「いいもの」と認識されるわけです。この点、エコノミーラインがあるブランドは入手しやすいメリットがある反面、「大衆的」とのイメージがどうしても付きまとってしまいます。予算内でモンブランに届くのであれば、モンブランをオススメしたいと思います。もちろん、モンブランに多少なりとも興味がある場合ですが。

傑作の名にふさわしい逸品

そのモンブランの代表と言える万年筆がマイスターシュテュックです。モンブランの万年筆と言えばマイスターシュテュックといっても過言ではないでしょう。モンブランを背負って立つ逸品です。姿かたちもいかにも万年筆然としていて、「万年筆」と言われて、多くの人が思い浮かべる形がマイスターシュテュックだろうと思います。

マイスターシュテュックはシリーズになっており、代表は149、146です。149はハイエンドモデルです。146と比べると一回りほど大きく、手が大きいほうの男の私が使っても、はっきりと大きいのがわかります。

丸善の売り場の方によれば、モンブランは大きいほうが「フォルムが美しい」とのこと。ただし、胸ポケットなどに差して持ち歩くには大きすぎで、つまり、ビジネスシーンなどにはあまり向かないと考えられます。「149は机に向かってゆったりとした気持ちで書く時に使いたい」そうです。

ちなみに、作家の開高健や三島由紀夫らは149を愛用していたと言います。確かに書斎で作家が使うのには最適なように思えます。一方で、持ち歩くなら146がベストでしょう。なお、マイスターシュテュックは「傑作」という意味のドイツ語です。綴りでは、meisterstückと書きます(meisterは名人、stückは一片で、傑作になる、のかな)。

書き味は、傑作の名にふさわしい逸品を思わせます。ペン先は滑らかに動き、書いていて手に負担を感じさせません。速く美しく、文字をしたためていけます。モンブランだからと言ってすべてを肯定するつもりはありません。ただ、マイスターシュテュックからははっきり「違い」がわかりました。正直、ものづくりは日本が最高峰だと思っていましたが、モンブランとヨーロッパの最高峰を名乗るにふさわしい職人の業を感じさせてくれます。使ってみると、良いものは間違いなくいいと実感できるでしょう。

文字の太さの刻印がない

多くの万年筆は、FやMなど文字の太さがわかるように、ペン先などにF、Mなどの刻印があるのですが、マイスターシュテュックにはどこを探しても見当たりません。

モンブランに問い合わせてみたところ、モンブランの万年筆には文字の太さを示す刻印はしてないそうです。販売店にはこれはF、これはMとわかるように納品しているとのことですが、販売店の手から離れた瞬間、つまり、購入した段階で、購入者が覚えておかないと、FだかMだかわからなくなるということです。また、使用頻度によって太さは変わるため、ホームページにも参考となる太さは載せてないのだとか(ただし、購入した際の説明書には、文字の太さの参考が載せられていました)。

モンブラン側の主張としては、FやMにとらわれず、自分の好みの太さか判断してくれ、あるいは、肝心なのは使ってみて好みに合うかどうかだから、FとかMとか知る必要ある?というところでしょうか。仮にそうだとしたら、納得のいくところはあります。

なお、モンブランでは、購入6週間以内だと、無料でペン先を交換してくれるサービスがあるとのことです。ただし、未使用に限るそうなので、このサービスに意味があるのかどうかちょっと不明です。また、購入時にはシリアルナンバーが登録されるそうなので、販売店に問い合わせればわかると話していました。そこまでして知る必要があるかどうかはわかりませんけどね。

購入は信頼できるお店で

モンブランは高級品ゆえに、偽物が多く出回っています。はっきり言って、偽物が精巧にできすぎいて、素人目には判別がつきません。安く買いたいという欲求はあると思いますが、ネットオークションなどでの購入は控えたいところです。

ネットで購入する場合も、信頼できる店舗を選びましょう。ただ、モンブランの場合は、ネットでもそれほど大きな値引きはされてないはずです。ピッタリの文字の太さを見つけるためにも、モンブランに限っては正規店や大手百貨店などでの購入がいいのではないでしょうか。売り場にはものすごく詳しい方がいらっしゃいますので、うんちくを聞いて知識を蓄えるのも楽しいことです。見て楽しむところもあると思いますので、可能なら実店舗に足を運んでみることをおすすめしたいと思います。

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