人間というのはつくづく習慣の動物だと気づかされます。
気づいたら、同じ時間に同じ道を歩いていて、
その景色には、代わり映えがありません。
でも、ちょっとした都合で、
普段はこの町にいないはずの時間に、
同じ道を歩いてみる。
すると、どうでしょう。
全然違うのですね。
人も、息遣いも、声も、違う。
同じ町なのか、というくらいに違っています。
大げさに言えば、少し緊張するくらいに。
なるほど。
同じ人が同じ時間に同じ道を歩くことで
作られる景色があるようです。
多分、その景色は、私一人がちょっといなくなった程度では
大きくは変わらないでしょう。
でも、少しの変化は確かにある。
しかも、私がまた別の景色に混じることで、
また生まれる別の景色もあるのだなと、
ふとそんなことにまで思いを馳せてしまいました。
つまり、結局、私も町の景色を作る一人でした。
この景色の中に、確かに私はいる。
留めておきたい風景がある。
人は思いながら綴りながら暮らしている。
生活とともに万年筆。