【エッセイ】今日も歩く道。

駅から家までの10分弱。
冬の間は、これがとてつもなく長い距離に感じます。
体の芯から冷やされて、のんびりすることなんてできません。
自然と早足になって、跳ねるように歩いていきます。

夜の冬。
そこはとても無表情です。
前を見ても横を見ても色がなく、
静かで、どこまでも広がっていくようで、本当に深い。
もしかしたら、これを神秘的というのかもしれませんね。

華やかさも派手さもない。
ただ黒い風景が広がっているだけ。
でも、これも味わいのある景色に思えてきます。

留めておきたい風景がある。
人は思いながら綴りながら暮らしている。
万年筆のある風景。

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