今回ご紹介したいのは、ペリカン(独)のスーベレーンM800(緑)です。ペリカンは万年筆の王道中の王道、それもスーベレーンの緑と言えば、高級文房具のアイコンのように扱われることもしばしばです。国内でも知名度は圧倒的に高く、スーベレーンを持っていれば、すぐにそれと気づいてくれるはずです。持ってうれしい、もちろん、書いてうれしい。スーベレーンM800(緑)あわせてペリカン社の詳細を以下にご案内します。
約200年の歴史を持つペリカンの始まりは絵具から。
日本でペリカンの知名度が高まったのは、この#400がもたらされた1950年代以降です。スーベレーンの代名詞である縦縞模様が人気を集めたようです。ペリカンのホームページによれば、スーベレーンと名付けられたのは1980年代になってからで、当時の独ヴァイマル共和政期の政治家シュトレーゼマンがストライプ模様のスーツを着ることで有名だったことから、シュトレーゼマンというニックネームで呼ばれていたとのこと。シュトレーゼマンは主に外務大臣として活躍し、1926年にノーベル平和賞を受賞しました。人気も実力もあったと推測されますので、スーベレーンにとって「シュトレーゼマン」と呼ばれるのは、名誉なことだったのではないかと考えられます。
絶妙の大きさと形のM800。
スーベレーンの良さは、まずはそのデザイン性の高さが挙げられます。縦縞模様は独特の工程で作りだされ、一本一本少しずつ異なっています。非常に味わい深く、見ていても使っていても、大きな充実感を覚えます。胴軸の緑は明るすぎず暗すぎずで、キャップの黒、クリップ部分などの金色と相まって、落ち着きや高級感を与えてくれるのです。
M800はスーベレーンシリーズの大きいほうから2番目の大きさです。もっともヒットしたサイズとの評価もあり、丸善の売り場の方によれば「シリーズの中でもっとも美しいフォルム」だそうです。特にペン先と胴軸の大きさが絶妙だと言います。実際、見ていて何とも言えない美しさを感じるのは事実です。
技術的に評価の高いペリカン。
このほか、特徴的なこととしてペン先を外せることが挙げられます。どういうことかというと、ペン先を軽くひねると取り外せるのです。この構造でインク漏れしないのは、考えてみたらものすごいことです。回して取り外せるのに、液体が流れ出さないのですから。他のメーカーの万年筆は通常、ペン先の取り外しは、分解でもしようとしない限りは、できません。
柔らかな書き味が持ち味。
ただ、もしかしたら、柔らかすぎると思うかもしれません。普段使うことの多いボールペンやシャープペン、鉛筆とは書き味が大きく異なります。万年筆らしいがゆえに、違和感を覚えることも考えられます。ついでに付け加えると、インクの出もいいので、インクと紙の相性によってはにじみが気になる可能性もあります。文字をゆっくり書いていると、にじむことが多いです。ただ、これからのことは多分に慣れもありますし、万年筆に何を求めるかによって評価が変わってきます。万年筆らしさを味わいたいなら、スーベレーンは本当に優れた逸品となるでしょう。
なお、スーベレーンM800で、初めて海外製の万年筆でMの文字の太さを選びました(すみません。アウロラのルナも字幅がMでした。失礼しました)。文字の太さFのM600を持っていることと、大きめのボディが魅力のM800だから、文字も太めにしようと考えたからです。普段は日本製のMあるいは海外製のFを使っているため、文字は確かに太と感じられますが、ノートに書く分にはあまり気にならない太さです。手帳やメモ帳に書いていると、文字が大きくなりがちですが、使えなくもありません。と言いますか、手帳やメモ帳への記述にも使っています。万年筆ではカリカリ細い字を書くより、ぬらぬらーっと大きな文字を書きたいという欲求があるので、これからは海外製のMももっと持ってみようという気になっています。
【仕様(本文中のもの)】
ペン先/18金
字幅/M
方式/吸入式
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