【エッセイ】新しい春。

春の陽だまりを歩いていると、
ふと思い出す光景があります。
それは、見知らぬ新しい場所でオロオロしている自分であり、
ちょっと年を取って多少厚かましくなったけれども
相変わらず、見知らぬ新しい場所でオロオロしている自分。
何のことはない、
いずれも、期待と不安を胸に抱いている入学式の風景なのでした。

日本人にとって春は変わり目、節目の季節。
心身ともに新しい一歩を踏み出す時です。

ただ、それも、自分にとっては、
20年くらい前までの話でしょうか。
社会人になって入社式を済ませると、それを最後に
春になったからと言って、
特別な感慨は持ち合わせないようになりました。

言ってみれば、去年までと代わり映えしない景色が広がっているだけ。
せいぜいが、暖かくなってきた、今日はコートを置いていこうか、
と思うくらいかもしれません。

しかしながら。

ついつい何も変わらないなどということを、
思ってしまいがちなのですが、
町も自分も変わっていないはずがありません。

新しい春を、去年までと同じ春だと断ずることに抵抗を覚え、
それでいいのかという気にさせられます。

やはり春は節目らしく、新しくありたい。
一つでも二つでも始められることを始めたい。
新しさや変化に気づきたいと思います。

そういう目で見ると、見えてくるものもあります。
いつもの風景もまた違って見えてきます。

感じるものがあるのなら、
記してみるのはいかがでしょうか。

留めておきたい風景がある。
人は思いながら綴りながら暮らしている。
万年筆のある風景。

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