【万年筆】パーカー(PARKER)  5th(5世代) インジェニュイティ

今回ご紹介したいのは、パーカー5thです。パーカーは万年筆を代表するメーカーの一つです。特徴的な矢羽根のクリップがアイコンとなっており、胸元に差しておけば「あ、パーカーだ」と知っている人はすぐにわかります。この点は、モンブラン、ペリカンと似ていますね。

ブランド力も同等に高く、何といっても、2度にわたり、ロイヤルワラント(英国王室御用達)を授けられている点が非常に大きい。要は英国王室が認めたブランド、品質というわけなのです。仮にパーカーを知らない人がいても、「ロイヤルワラント、つまり、英国王室御用達の万年筆なんだ」と言えば、興味を持ってくれる……かどうかはわかりませんが(笑)良いものだ、すごいものだ、ということは伝わるでしょう。他にも、マッカーサーが使っていた、太平洋戦争の日本の降伏文書での署名に使用された、などの逸話があります。ただし、あまり言いすぎるとウザがられる可能性もありますので、わかる人だけわかってくれと思うことにしましょう。ご安心ください。パーカーは筆記具メーカーの中でも知名度が高く、わかってもらえる可能性はかなり高いです。

歴史は古く、創業は1888年で130年の歴史を積み重ねてきました。非常に先駆的で、機能面でもデザイン面でも優れ、高級筆記具メーカーとしての立ち位置を確立しています。一方で、ボールペンやシャープペンシルは1000円前後のリーズナブルなラインもそろえており、万年筆も1万円以下で買えるものが少なからずあります。その意味で、とても身近なブランド・メーカーだとも言えるでしょう。もともとはアメリカのメーカーでしたが、一旦イギリスの会社となり、今はアメリカの一般消費財メーカーのグループ企業となっています。生産拠点は既にイギリスになく、フランスにあります。この点もモンブランと似ています(モンブランの詳細はこちらでも紹介)背景に、筆記具ブランドの生き残りの難しさがあるかもしれません。利便性だけを考えれば、万年筆を使う必要はまったくないわけで。生活者(ユーザー、消費者)にどのような付加価値、体験価値を提供するかがメーカーの課題となっているのではないでしょうか。

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これは新しい万年筆

パーカーは2000年代に入り、今回ご紹介する5th(5世代)を発表しました。何が5世代なのかといえば、万年筆、ボールペン、ローラーボール、ペンシルの次の筆記具というらしいのですが、それでは万年筆ではないのではないか、ということになってしまいます!(あれ?)

厳密に分けると万年筆ではないと考えられますが、ここでは万年筆の一種として扱います(文房具屋さんでも、万年筆のコーナーに置かれていますし)。ただ、使い勝手や書き味は5thは万年筆とは別物の筆記具と捉えたほうがいいでしょう。外見上は万年筆やボールペンなどとほとんど変わりませんが、書き味は大きく異なります。ボールペンよりは滑らかにペンが滑りますが、万年筆の滑らかさとも違います。万年筆よりローラーボールペンに近い気はしますが、同じではありません。その意味で、まったく別の5thというのもうなずける話なのです。

万年筆との比較で言うと、利便性は圧倒的に5thのほうが高いと思います。万年筆のようにインクを補充する必要はなく、リフィルと呼ばれる替え芯を使います。ボールペンの芯を変える感覚で、手が汚れることもなければ、特別なメンテナンスも必要ないのです。万年筆の場合は手間がかかる分、愛着がわくということもありますが、余計な手間を省きたいという場合にはピッタリです。

さらに、リフィルはなかなかの優れ物で、乾きが速く、書いた文字にすぐに手で触れてもあまりかすれません。この点は万年筆のインクとの大きな違いです。おそらく、5thはビジネスシーンで使われることを想定したのではないでしょうか。万年筆がどちらかというと趣味に寄った筆記具ですが、5thは普段使いやビジネス上のアイテムとして持ちたい一本です。なお、パーカーの公式サイトでは、リフィールとなっていますが、一般にはリフィルと伸ばさない言い方が流通しているので、ここでもリフィルに統一します。

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カラーバリエーションが豊富なインジェニュイティ

今回ご紹介するインジェニュイティはカラーバリエーションが豊富で、私が購入した黒の他に、赤や青などがあります。形についてもいくつか種類があり、細身なものも出ています。私がてにしたのは「ブラックラバー&メタルCT」と呼ばれるもので、黒を基調にシルバーのクリップが付いており、ペン軸にはラバー素材が用いられています。おそらく。色味も形状も一番のゴツイものでしょう。手が大きいことや筆記具に「持った感」を求めてしまうほうなので、大きめの筆記具を選ぶ傾向にあります(ウォーターマンのパースペクティブが好きなのも同様の理由です)。大きめの万年筆は重たいことが最大のデメリットですが、手に心地の良い使用感を与えてくれます。一度、大きめの万年筆を手に取ってみるのも面白いと思いますよ。

インジェニュイティは東京の丸善で購入しました。丸善の店員さんが言うには、5thは非常に人気ですぐに売れてしまったとのこと。世界中でもっとも売れたのが日本らしいです。どういった層がどんな理由で購入したのかは不明ですが、「ビジネスシーンで使える新しい筆記具」を求めていたのかもしれませんね。字は書くよりパソコンで打つほうが主流ですが、ビジネスパーソンは意外と手で書くことを求めているのではないでしょうか。

敢えてデメリットを挙げるとすれば

利便性に優れたパーカー5thですが、欠点はないこともないです。最大のネックはリフィルの乾燥が速いことです。放っておくと、すぐに乾燥して字がかけなくなります。すぐにといっても1~2週間で乾ききってしまうということではありません。まったく使わない状態で1カ月くらい放っておいても大丈夫なので、この手の商品としてはむしろ優れているほうだとは思います。ただ、月に数回のペースでしか使わないと、インクが切れるタイミングを早く感じるでしょう。5thを使う際は、リフィルを使い切るまで他の万年筆に浮気しない精神力が求められます(笑)

同時に色のバリエーションを楽しめないのもデメリットとなります。インクのように何千種類とあるわけではありません。今のところ(2022年)、ブラック、ブルー、レッドしかないようです。こうしたことからも、5thあくまでビジネスシーンでの使用が最適だと思われます。

なお、リフィルはまあまあのお値段です。正規の値段で1本1000円くらいです。万年筆のインクも、メーカーによってはボトル一本2000円くらいする場合もあるので、突出して高いということはありません。しかし、インクボトルが何カ月も持つのに対して、リフィルの寿命はそれほどでもありません。個人的にはリフィルをインクカートリッジくらい気軽に使えればいいのになと思っています。とても良い筆記具なのは間違いありませんからね。

最後になりますが、5thのメリットは利便性と書きやすさです。ビジネスシーンで使えるちょっとオシャレな筆記具を探している方には強くお勧めいたします!

(追記)
長く使う過程で見えてきたことが2点あります。一点目は、キャップ部分に傷がつきやすいということです。クリップの先端部分が、キャップの表面に傷をつけしまいました。キャップ部分に柔らかなゴム製の素材を使っていることと関係していると考えられます。つまり、金属のクリップが柔らかなゴム製素材を削ってしまうのです。もう一点は汚れが目立つということです。全体が黒いのため、ほこりが付くと目立ってしまいます。さらに、インジェニュイティはキャップ以外にも、全体的にゴム製の素材を使っており、ほこりをくっつけてしまいます。一度付着したほこりはなかなか払い落とせず、放っておくと汚れがとても目立つようになります。これは購入時や使用し始めのころはなかなか気づかないことでした(下の写真を参照してください。クリックで拡大できます)。もちろん、使い方の問題もありますが、他の所有する万年筆はここまでのことはないので、インジェニュイティ固有の出来事ではないかと推測されます。かなり気に入っている万年筆なのですが、これは盲点でした。使い次第では劣化や汚れは軽減できると思いますので、参考にしていただければ幸いです。

5th(5世代) インジェニュイティのキャップ部分5th(5世代) インジェニュイティ

 

 

 

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