ペリカン・スーベレーンを修理に出して、ペン先を直してもらった話
ペリカン・スーベレーンM800とインク・ターコイズ

前回、スーベレーンがとても書きやすいという話をしました。私はスーベレーンを2本持っており、一つは赤M600、もう一つは緑M800です。このうち、書きやすいのは赤M600で緑M800はどうも調子が良くない。具体的にはどうも書いても書けない、インクが出ない時と場所があるようなのです。実は以前から気になっていたこともあり、修理に出すことにしました。
※本記事はプロモーションを含みます。

スポンサーリンク

万年筆が「スキップ」する。

通常通り万年筆を使っているはずなのに、インクが出ない、特に書き出しや特定の文字を特定の角度で書いた時にインクが出ないという現象がしばしば起こります。ペン先の構造上、インクが出ない箇所が紙に当たっているのなら、インクでなくて当たり前です。一方、ペン先に何らかの不具合があり、インクが出ないことがあります。これはスキップと呼ばれる現象です。

スーベレーンM800はペン先の大きな万年筆のため、インクの出ない箇所は多くなる傾向にあります。ペン先が細ければ細いほど、ペンポイントのインクの出る個所が筆記の際に紙と接している時間が長くなりますので(逆にペンポイントが大きいとインクの出ない箇所が紙に触れる確率が高くなる)、インクが出ないという現象は生じにくい。このため、M800でスキップが起こるのはある意味で避けられないこととも言えます。しかしながら、あまりに頻繁にスキップが起こります。言うまでもなく、素人では、はっきりペン先が曲がっているなどあれば別ですが、通常は見た目で不具合があるかどうかなどわかりません。そこで一度、不具合なのかもともとの性質なのかも含め、見てもらうことにしたのです。

スーベレーンM800、修理前
スーベレーンM800修理前
スーベレーンM800修理前
スーベレーンM800修理前
スポンサーリンク

東京銀座の伊東屋に行ってきました。

東京銀座の伊東屋は常時、万年筆の修理を受け付けています。対応メニューは「分解洗浄、インクフロー調整」「ペン先開き調整」「ペン先とペン芯のすきま調整、ペン先曲がり直し」。ペン先関係の修理が中心で、主にインクの出を調整してくれるようです。イベント的に行っているのではなく、いつでも見てくれるのがありがたい限りです。修理費は高くて5000円程度です。痛い出費ではありますが、良心的と言えるのではないでしょうか。もちろん、買い替えるよりははるかに安価です。修理期間は1~2週間となっています。

ペン先の修理とは直接は関係ありませんが、伊東屋に足を運んで、外国人観光客の多さに驚きました。店内の半数以上、7割くらいは外国人だったように感じます。日本の文房具がいかに外国人に人気かよくわかります。店内には、外国人観光客向けの商品もたくさん並んでいました。私の主目的はスーベレーンの修理でしたが、店内を見ているうちについついほしくなって、いくつか「お土産」を買ってしまいました。

伊東屋のお土産、フグのピンズ
伊東屋のお土産、フグのピンズ

修理をして、とても書きやすくなりました。

さて、肝心の肝心の修理はどうなったか。頻繁にスキップが起こると感じたM800がどのような診断を受けたかというと、やはり修理が必要となりました。担当の方に試し書きをしてもらったところ、スキップが生じ、「これですね」みたいな感じで確認されました。「もともとの作りなのか、使っているうちに不具合が生じたのかは不明」とのことですが、簡単な調整で直るという話。費用は2000円程度で期間は2週間と言われました。やはり調子の良くないところがあったんだなと納得し、これでM800が使いやすくなると喜んで修理に出しました。

それから2週間、また修理後のM800を受け取るために改めて伊東屋に足を運びました。事前に説明のあった通り、ペン先を微調整したようです。インクの出を確認すると、今までの不調がうそのようにインクの出が良くなりました。スキップがなくなったのです。これが本来のM800だった、となんだかとても感動しましたね。書くという行為は、繊細な側面があります。ちょっとしたことで思考が途切れ、筆が進まなくなることはすくからずあります。勢いに乗じて文章を綴っていたのに、万年筆がスキップを起こしてしまった。書いたはずの文字を、改めて書き直す、などいうことを繰り返していたら、興がそがれます。イライラもしてきます。下手をすれば、M800への愛着が薄れ、万年筆そのもの評価が下がることになりかねません。そうした事態を防げたことがとても良かったのです。

不具合を感じたら、即修理に出そう。

教訓、というと少々大袈裟ですが、なんだか調子が良くないなと思ったら、すぐに修理に出すのが良いのでしょう。特に複数本持っている場合は、調子の良くない万年筆は放っておいて、そのまま使わなくなることがあると考えられます。それも複数本持つ良さなのかもしれませんが、愛情に欠けるというか、ちょっと寂しい気がします。

何本持っていようと、一本一本を大切に長く使うのが本筋でしょう。わざわざ修理に出すのは面倒くさいところもありますが、そうしたことも含めて万年筆を扱うということなのかもしれません。捨てずに長く使って、万年筆がますます手に馴染んで、自分にとってなくてはならない一本になる。そういう過程を楽しめるのですね。

それよりも何より、日ごろのメンテナンスが大事。万年筆の最大のメンテナンスは「毎日使う」ことですので、ここで紹介した「モーニングノート」などを活用して、万年筆で書くことを日常にしてしまうのがベストです。

実は、私にはもう一本、不調の万年筆がありまして。とてもお気に入りの万年筆だったのですが、どうも書きづらいと、しばらく使わないことが続いております。このまま放っておくと、愛用の一本からただの死蔵品になってしまいます。こうしたことを考えると、万年筆に不調を感じたら、すぐに修理に出すことが強く推奨されるのです。

あとがき

ペリカン・スーベレーンM800を修理に出したことを紹介しました。どう書きづらいと少々不満を感じていたところ、修理に出したら2週間で戻ってきて、書きやすい一本となって戻ってきました。万年筆は長く使える一本です。サステナビリティが重視される今の時代にも合っているような気がします。長く愛情を持って使い続けるためにも、常日頃からのメンテナンスはもちろん、不調を感じたらすぐに修理に出す、あるいはその道の専門家に点検してもらうようにしましょう。

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事