【パーカー】ソネット 英国の伝統を受け継ぐ定番モデル

今回ご紹介したのは、パーカー(PARKER)のソネットです。ソネットは1993年に世に世送り出されました。伝統的な技術とデザインが継承され、高品質な万年筆として人気を博してきました。キャップと本体をつなぐリングに「PARKER」「SONNET」(ソネット)の文字が刻印。インクはカートリッジとコンバーター、いずれも使用可能な両用式で、ビジネスシーンプライベートなどに広く活用ができます。

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革新的な高級ブランドとして存在感を放つ。

パーカーは1888年にイギリスで創業しました。2023年で創業135年の節目を迎えます。その歴史の中で、2度にわたり「ロイヤルワラント(英国王室御用達)」を授けられている高級筆記具ブランド。150カ国以上で販売されており、世界中のファンを魅了しています。優れたクラフトマンシップに基づいた「信頼性」と持つ人にとって生涯のパートナーとなる「誠実さ」が持ち味。革新的なペンを生み出してきた歴史も持ちます。インクの漏れを防止する特許技術「ラッキー・カーブ」や、GHQの最高司令官、ダグラス・マッカーサーが降伏文書の署名時に使用したとされる「デュオフォールド」などで知られています。

パーカー万年筆ソネット すみっコぐらし しろくま

また、何といっても「矢羽クリップ」が著名でしょう。万年筆「バキューマティック」のクリップとして1933年に初めて採用されました。パーカーの先駆者的姿勢を象徴したもので、1957年にブランドの正式なエンブレムとなることが決定。2015年にはデザインに一部変更が加えられました。矢羽クリップはパーカーのシンボルとも言えるものです。筆記具や万年筆を知る人であれば、矢羽クリップを目にするとすぐにパーカーと認識できるはずです。仮にパーカーのことを知らなくても、「なんだかおしゃれでデザイン性の高いペンだな」くらいに思うでしょう。その意味で、モンブランのホワイトスター、ペリカンのくちばし型のクリップに勝るとも劣らない存在感を放っているのです。

このほか、忘れてならないのが独自に開発した筆記モード「5thテクノロジー」です。2011年に発売された「インジェニュイティ」に搭載されました。5thテクノロジーは新しいコンセプトのペン先(特許取得済み)で、万年筆やボールペン、鉛筆などとは違った書き味を実現しました。私自身も5thを愛用しています。詳しくはこちらをご覧ください。

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柔らかさの中にも堅さのある、確かな書き応え。

数々の名品を手がけるパーカーの中でも、ソネットは1993年に発売された、代表的なシリーズです。今回ご紹介しているのは、2015年にリリースされたモデル。伝統的な格子模様「シズレパターン」が特徴の一つです。グレイとシルバーの格子模様をベースに、ピンクゴールドに近いブラウンがクリップとリングを彩ります。洗練されたデザインとフォルムが見る人と使う人を引き付け、男性からも女性からも支持されています。非常に精巧な作りで、17個のパーツから構成され、ペン先は手作業で1本ずつ作られています。

手に取ると程よい重さが感じられます。どちらかと言えば軽めのボディだと思いますが、そこにしっかりとした持ち応えみたいなものがあります。キャップは引っ張って開ける嵌合(かんごう)式です。万年筆は回して開ける、ねじ込み式が多いので、少しだけ意外でした。ねじ込み式は気密性が高く、インクの乾きを防いでくれます。ただ、開け閉めに時間がかかり、持ち手の部分に凹凸があり、気になることもあります。一方、嵌合式はねじ込み式ほどの気密性はありませんが、開閉が楽にスピード感を持って行えます。持ち手の部分に凹凸がないも良さの一つです。

パーカー ソネット ペン先
パーカー ソネット ペン先

ペン先は18金でやや長方形に近く、横から見ると平らな印象を受けます。万年筆の書き味はペン先が丸みを帯びるほどに柔らかくなり、平らだと堅くなります。実際に書いてみると、堅めの書き味かもしれません。ただ、堅いと言ってもそこは18金なので、柔らかさの中に堅さがあるとでも言いましょうか。私自身は万年筆ユーザーのわりには筆圧が高いほうなので、ちょうど良く、書いていて心地よさすら感じます。特に細かい字を書くときはある程度の堅さが欲しいので、その点にソネットの有用性を感じます。

なお、ソネットは高級感の割にはリーズナブルという特性があります。といっても、定価で3万円以上します。万年筆としてはリーズナブルだけど、一般的な筆記具からするとべらぼうに高いのですが(ネットだと少し安価になります)、輸入物の万年筆で18金のペン先は、3万円ではほぼ買えません。軽く5万円を超えます。5万円以上の万年筆でもペン先がステンレスということはざらにあります。高級ブランドのパーカー、その代表シリーズのソネット、しかもペン先は18金ということを考えると、3万円台は破格と言っていいでしょう。

ソネットは詩のソネットと関係があるのか。

ここからはものすごく余談ですが、使い勝手も良くステータスもあってリーズナブルであるパーカーですが、つい最近まで5thしか持っていませんでした。従って、ソネットを手にしたのも実はつい最近なのですが、これまで10年以上も万年筆を使ってきて、それも国内外の複数のメーカーに親しんできたわりには、パーカーには手を出さなかったのです。

パーカー万年筆ソネット

理由としては、リーズナブルという点で何となく避けていたところがあります。リーズナブルということは、安価で手に入るということなので、良し悪しがあります。つまり、安く買えるのは嬉しいけれども、全体の価値も下がってしまう。数万円のパーカーも数千円のパーカーも同じように羽クリップがついていたら、1万円も1000円も同じじゃないか、とまあ、そんなふうに捉えていたのです。他方、モンブランなどはどのシリーズも数万円するので、全体に価値が下がらず、良いブランド戦略だなと感じていました。

とはいえ、同じように羽クリップがついているといっても、高級感の違いは歴然です。また、数千円で金ペンは買えません。国内メーカーでも1万円はします。上記でも少し言及しましたが、海外メーカーは数万円でもペン先がステンレスのことがあります。数万円でステンレスというのは抵抗があります。それならパーカー、何より、好きなものを使えば良いだろうということで、この度パーカーを手にしました。ここまで10年以上。長かった、無駄に……(笑)

さらに余談は続きます。「ソネット」というと、ヨーロッパの詩のソネット(sonnet)を思い浮かべるかもしれません。ただ、パーカーのソネットと詩のソネットの直接的な関連は見つけられませんでした(ソネットはソネットのことだと思うのですが、明示はされていなかったということです)。

ちなみに、ソネットは日本語で「14行詩」と訳されますが、14行であれば何でもソネットというわけではありません。ソネットにはいくつかの決まりがあります。わかりやすいところでいうと、一定のルールのもと韻を踏んでいることが挙げられます。他にも、弱強弱強のリズムになっているなどがあるのですが、日本語ではなかなか表現するのが困難ですね。和訳する場合はどのようにしているのでしょうか。ソネットだけど、ソネットではないものになるように思えます。和歌や俳句を英訳するのに近いかもしれませんね。

と、最後は余談ばかりになってしまいましたが、パーカーのソネットは間違いなく逸品。海外の万年筆を一本持ってみようかと考える人にもお勧めです。

【仕様(本文中のもの)】
ペン先/18金ペン先ロジウムプレート仕上げ
字幅/F
方式/両用式
サイズ/長さ:約133mm(収納時)、約145mm(筆記時)
重さ/約26g

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