最近、あらゆる分野で本物のファンだ、にわかファンだ、
ということが言われていますけど、
別にどっちでもいいじゃないか、というのが私の感想でございます。
万年筆もたくさん持ってなければファンじゃないような感覚に陥ってしまいますけど、
1本持っていれば、もう十分でしょう。
私などもセーラーのプロフィット1本しか持っていなかった時から
さも10年も使っているような顔をして、
「万年筆はいいよ」とか言っていましたからね(笑)
インクカートリッジを指して使っているだけで、
インクボトルやコンバーターの知識もほぼありませんでしたけど、
知識のあるなしも、ファンであるかどうかの判定の材料にはならないはずです。
大切なのは、好きだという気持ちです。
極端な話、1本も持ってなくても、好きならファンだと思います。
世の中にはフェラーリやランボルギーニなど
スーパーカーのファンというくくりがありますけど、
1台も持っていない人のほうが多いのではないでしょうか。
あれと同じです、多分。
なぜ万年筆は楽しいのか。
実際に使う面白さ、眺めてみる喜びは当然あるとして、
万年筆は実は使っていない時にも、楽しみをくれるものなのです。
万年筆を持ったら、やっぱり書きたくなるものです。
すると、今日はどんなことを書こうかと、
日常を見る目が変わってきます。
書く材料は日常のあちこちにありますが、普通は見逃しがち。
それを見つけようとするのだから、多くの気づきや学びを得られます。
変化にも敏感になるでしょう。
同じ時間を過ごしていたとしても、濃度が違う。
日常がもっと豊かになるのですね。
さらには、文章を書いているうち、
もっとうまくなりたい、ここはひとつカルチャーセンターにでも通ってみようか、
という気になるかもしれません。
今の時代、文章は書けるようになると、楽しみが広がります。
さまざまなブログサービスを活用することもできますし、
Amazonで出版するなんてこともできるようになります。
ぜひ文章を書くことにトライしてみてほしいと思います。
あるいは、作文はどうしても苦手という場合でも、他人の文を写すことはできますので、
有名な作家の文を書き写しす楽しみ方があります。
実際、筆写を趣味にしている万年筆のファンは多いです。
文章を書き写してみると、読んでいる時とは異なる発見をするものです。
不思議なことに、同じ文章のはずなのに、
読んでいる時には気づけなかったことに気づけることも少なくありません。
そうしたことも大きな楽しみの一つです。
また、筆写する時は日本語に限らなくてもよくて、
英語が好きなら、英語を書いたり書き写したりしてもいいわけです。
さらに一つ工夫して、筆記体でつづってみるのも面白いかもしれません。
美しい筆記体には憧れます。
実際、カリグラフィーという分野もありますしね。
カリグラフィーと同じような発想で、
絵を描いてみる手もあります。
私自身、うまい下手はいいておいて、試しに絵を描いてみました。
絵を描くなんていつ以来だろう思いましたけど、
なんだかとても楽しい時間を過ごせました!
字を書く、絵を描くに関連した楽しみとしてインクがあります。
最近は何千色と出ているようなので、楽しみは尽きません。
インクに魅了されてしまうことを「インク沼」というみたいです。
このほか、万年筆そのものに興味を持ち、
機構や歴史を探っていくのも面白いでしょう。
万年筆と一口に言っても、楽しみ方はさまざまにあります。
万年筆に限らず、趣味全般、そういうものなのかもしれません。
万年筆で人生が変わる、と大げさなことを言うつもりはありませんが、
一つでも二つでもいい影響を与えてくれると思います。
ぜひ万年筆ライフを楽しんでください。