【エッセイ】万年筆は3度うれしい。

万年筆を持つ喜びは、概ね3度訪れる。

1度目は初めてその万年筆を手にした時。
単純に所有の喜びである。
気に入った万年筆を見つけ、購入の意志を固め、
その万年筆を自分のものとした時、気持ちはとても高揚する。

2度目は、その万年筆で字を書いた時。
自分のものとした万年筆を箱から取り出し、
インクをセットして
紙の上にペンをサッと走らせる。
その万年筆の書き味を実感し、時に悦に浸る。
これは一本一本書き味が違うから、
万年筆を何本持っていようと味わえる喜びであり、
書いている間は味わえる息の長い喜びである。

3度目は、その万年筆が手に馴染んだ時。
その万年筆が今まで以上に書きやすく、
あたかも自分の手に合わせて作られたかのように錯覚する。
まさに、万年筆が「自分の万年筆」になった瞬間だ。
この瞬間がいつ訪れるかはわからない。
1カ月後かもしれないし、半年後かもしれないが、
いつかは必ず訪れる。

そして。
手に馴染むほど万年筆を使っていれば、
きっと書くことそのものに、何らかの喜びを見出している。
そんな4度目の楽しさもあることもぜひ覚えておいてください。

さて、今日は何を書いてみようか。

留めておきたい風景がある。
人は思いながら綴りながら暮らしている。
万年筆のある風景。

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