万年筆は金のペン先、金ペン(金ニブ)を持とう。
パイロット、カスタム

前回の記事で金の値段が高騰している、すなわち万年筆の価格も上がらざるを得ない、と言っておきながら、これを伝えるのもなんですが。加えて、異論・反論を起こしやすいテーマでもあるでもあると思うのですが、敢えて申し上げましょう。万年筆を手にするのなら、金ペン(金ニブ)を持とう、と。ということで、今回は金ペンをテーマに取り上げます。

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金ペンとは金を用いて作られているペン先のこと。

まず金ペンについて説明します。金ペンとは、読んで字のごとくと言いますか、金のペン先です。ペン先のことを「ニブ」と呼ぶこともありますので、金ニブは金ペンと同義です。金のペン先と言っても、ペン先がすべて金というわけではありません。万年筆のペン先を含め、金製の製品には銅や鉄などが混ぜられていることがほとんどです。金は柔らかいので、金だけの純金では実用に向かないのです。

セーラー万年筆、プロフィット、21K
セーラー万年筆、プロフィット、21K

製品の中に金がどれだけ含まれているかを表すのに、カラット(Karat=K)という単位を使用します。金の含有量が多い順に24カラット(99.9%)、22カラット(91.7%)、21カラット(87.5%)、18カラット(75.0%)、14カラット(58.5%)、10カラット(41.7%)などとなっています(カラット=K=金ですので、24カラット、24K、24金は同じ意味。ここからは「K」と表記します。なお、金は24進法で表します。このため、18K=24分の18=75%となるのです)。このうち、万年筆で使われるのは21K、18K、14K。21Kはセーラー万年筆のみが扱っています。ただし、セーラー万年筆は18Kがありません。他のメーカーは基本的に18K、14Kを扱っています。

ペン先に金が用いられているかどうかは、ペン先の刻印を見ればわかります。金ペンなら、21K、18K、14Kなどと表記されているはずです。また、仕様書で確認することもできます。手元に仕様書がなくても、インターネットですぐに探せると思いますよ。

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実用面ではステンレス製のペン先でも問題はないが。

万年筆のペン先は、金以外にも、ステンレスやスチール、特殊合金のものがあります。総称して鉄ペンと呼ばれるようです。かなり流通しています。もっとも大きな特徴の一つは、金ペンと比較してリーズナブルなことでしょう。しかし、万年筆そのものの価格が上がっており、中には、5万円以上もするのに鉄ペンということもあるほどです。

ここで誤解なきよう申し伝えますが、私は必ずしもステンレス製などがダメと言っているわけではありません。私自身、ステンレス製のペン先の万年筆を愛用してもいます。金は前述した通り柔らかい性質がありますので、金ペンは基本的には書き味が柔らかく、滑らかに紙の上を滑っていくような感覚を味わえます。対して、ステンレスなどは堅く、スラスラした感じは金ペンほどはしません。

しかしながら、ボールペンやシャープペンを日常的に使っていると、筆圧は強くなりがちで、鉄ペンの堅さに馴染みやすいことが多いのです。実際、私も鉄ペンにかなり書きやすさを感じます。逆に金ペンはふにゃふにゃする気さえして、最初は戸惑う可能性もあります。さらに、近年は技術も進歩しており、鉄ペンでも本当に書きやすくなっています。実用の面から見ると、鉄ペンでも十分なのですが、それでもやはり少なくとも一本は金ペンの万年筆を持って使ってほしいと思うのです。

万年筆と言えば金ペン。

とてもありきたりなことを言って恐縮ですが、やはり万年筆と言えば金ペンです。よくあの作家はモンブランを使っていた、ペリカンを使っていた、という特集を組まれることがありますが、基本的には金ペンです。昔の作家はパソコンではなく自筆で原稿用紙に書いていたのですから、疲れないペン、つまりペン先が柔らかくスラスラかけるペン、すなわち金ペンの万年筆が必然的に選ばれました。

だから何なのだ、紙に字を書く機会はほとんどないのだが、という声も聞こえてきそうですが、要するに「これぞ万年筆」という万年筆の元来の書き味を味わってほしいということです。一種の新しい体験です。その上で、やっぱり堅い書き味が良いというのであれば、鉄ペンを選択するというのでも良いのではないでしょうか。

一方、先ほどお伝えしたように、金ペンは柔らかく、最初のうちは手に馴染みにくい可能性があります。個人的には、ペリカンのスーベレーンの書き味は柔らかすぎてびっくりするほどでした。そうした万年筆を最初に使うと、金ペンは書きづらいと感じる可能性もあるので、おすすめしたいのは国内メーカー、パイロットコーポレーション、セーラー万年筆、プラチナ万年筆の代表モデル。具体的には、カスタム、プロフィット、センチュリーです。

#3776 センチュリーとシステム手帳
#3776 センチュリー

国産の万年筆は、日本語を書くことに最適化かれています。つまり、画数の多い漢字を書くことも想定したペン先で、一定の堅さがあり細めに調整されています。対して、ペリカン、モンブラン、パーカーなど海外メーカーは、アルファベットを書くことを想定しています。画数の少ない文字をすらすら書くのが理想ですから、ペン先は柔らかく太めの文字が書けるようになっています。だからといって、必ずしも日本語を書くのに適していないということにはならないのですが、初めての金ペンは無難で質の高い国産メーカーが適しているでしょう。あくまで個人的な感想ではカスタム、プロフィット、センチュリーの順にペン先は堅くなります。つまり、この中でもカスタムがもっとも柔らかいと感じるのです。

少し本音もお伝えします。

最後に、少しだけ本音を言います。金ペンを持ってほしいというもう一つの理由です。冒頭で、鉄ペンのメリットはリーズナブルな価格にあるとお伝えしました。一方で、最近は鉄ペンでも5万円以上するものもあるとお伝えしました。

正直に言うと、あくまで個人的な意見ということを繰り返し言ってお伝えすると、それだけのお金を出すなら、金ペンを持つのはどうかと提案したいのです。価格は上昇しており、特に輸入物は2~3万円で金ペンは買えなくっています(探せば見つけられはします)。とはいえ、国産メーカーであれば2万円前後で金ペンが買えます。国産メーカーの回し者のようなことを言って恐縮ですが、国産メーカーの万年筆を持ち、万年筆らしい書き味を知る機会を作ってほしいと思います。

万年筆の魅力は書くだけにとどまりません。海外メーカーの美しいデザインの万年筆は、たとえ鉄ペンであっても欲しくなります。見ほれるほどの美しさです。購買意欲を注がれますが、5万円もするならリーズナブルという鉄ペンのメリットと魅力が失われる、と庶民は思うわけで。もちろん、最終的には個人の判断なので、何を選んでも良いのですけどね。

編集後記

本日は金ペンについて書かせていただきました。金ペンをおすすめする最大の理由は「万年筆らしさ」を味わえるという点です。せっかく万年筆に触れるなら、金ペンの書き味を体験してほしいと思うわけです。その上で、好みがわかれることは当然にあります。金ペンと鉄ペン、どちらが優れているということではなく、単に金ペンを使ってみほしいと、そう思うだけなのです。

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