【文章講座】やや番外編。モーニングページ(仮)のすすめ。

前回の記事で、文章への抵抗感をなくすこと、その重要性と具体的な方法を解説しました。具体的な方法といっても、結局のところひたすら書くだけです。ひたすら書けと言われてかけるのであれば、苦労しないでしょう。やはりここは何か書くための手段やツールが欲しいところです。そこでおすすめなのが、モーニングページ(仮)です。今回は、文章への抵抗をなくすため、モーニングページ(仮)の活用方法をご紹介します。
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「モーニングページ」は仮の名称です。

モーニングページ(仮)と仮称としているのは、正式なモーニングページとは少々異なる使い方をするからです。そもそもモーニングページとは自己啓発のためのツールです。創造性を高めるためのワークで、文字通り朝に数ページ手書きで筆記します。推奨されているのはA4のノートに3ページ分。何でも良いから3ページをとにかく埋めます。このモーニングページを正しく習慣づけ実行することで、何らかの好影響を受けるということでした。

詳しくは『ずっとやりたかったことを、やりなさい』(ジュリア・キャメロン)に記載されており、興味のある方はぜひ一読してほしいのですが、私は著者が推奨する通りにはやっていませんし、正式なモーニングページをお勧めしているわけでもありません。あくまで文章への抵抗をなくすため、もっと言ってしまえば、とにかく万年筆で字を書くためだけにモーニングページに取り組んでみてはどうかと提案しているのです。正式な使い方をしないから、モーニングページ(仮)と「仮」をつけているのであり、私自身はモーニングノートと呼んでいます(ページというよりノートというほうがしっくりくると思ったからです)。

もちろん、正式な使い方をしても良いのですが、ルールに縛られると、ルールを破った瞬間にもういいやとなってしまいがちです。「正式な使い方じゃないけど、まいっか」とルーズな部分を残したかったのですね。「多少ルールから外れているけど、万年筆を使うことが目的だからこれでいいや」と、肩ひじ張らずに書いていきたかったわけです。

前回もひたすら書く方法を解説していましたが、モーニングページの影響を少なからず受けています。ここで改めて「万年筆のある風景」流のモーニングページ(仮)の書き方を列挙します。

モーニングページ(仮)の心得

・朝起きたら書く

・A4ノートに3ページ推奨だが、B5ノートでも良いし、1ページに満たないことがあっても良い。

・文字は大きく、2~3行に1文字で良い。

・人に見せない。

・最初の1カ月くらいは自分でも読み返さない。

・書くことがないなら「書くことがない」と書けば良い。

・手書きにする。万年筆を推奨(ボールペン、ガラスペン、鉛筆でももちろん良い)。

・書けない日があっても気にせず次の日に書く。

・朝に書けなかったら昼でも夜でも可。

・効果を期待しない。

・文章の練習をしようと思わない。

前述したようにモーニングページ(仮)なので、ルールは厳しく運用する必要はありません。ルール通りいかないケースが生じることを前提とします。その上で、意識したほうが良いルールについていくつかピックアップして解説します。

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できるだけ、朝一番にノートに書き始めよう。

モーニングページ(仮)ですので、朝に書いてしかるべきなのですが、ここでの朝は物理的な朝に限定されません。目を覚ました時を朝として、それが10時だろうが11時だろうが、昼過ぎでも「朝」ということにして、モーニングページ(仮)を書き進めます。これで今日は早起きできなかったと過度に落ち込む必要がなくなり、いくらかは気楽にモーニングページ(仮)に臨めるわけです(出勤日は出勤前に書かねばならないという制約は残りますので、休日などの話だと思ってくださいね)。

ポイントは、朝起きたらまずは書くということです。新聞を見たりメールをチェックしたりする前にモーニングページ(仮)を開くようにしましょう。他のことをする前にモーニングページ(仮)に取り組むことを強く推奨するのは、効果云々というよりも、モチベーションの問題です。他のことをし出すと、モーニングページ(仮)を書く気がどんどんなくなっていきます。それでも出勤日は出勤前に何とかページを埋めようとすると思いますが、予定のない休日などは今日は休止しようかという考えがもたげてきます。

モーニングページ(仮)1回あたりにかかる時間の目安は30~45分です。他のことに気を取られだすと、1時間以上かかったりします。それも嫌々書き進め、何とか完成させるような感じになります。時間をかけても仕方のないことですし、朝一番に取り組んでサクッと終わらせたほうが気持ち良いです。ということで、出来れば朝のコーヒーを入れる前に、水でも飲んで書き進めましょう。書き終わった後のコーヒーは最高にうまいですよ!

効果に期待しない、文章の練習だと思わない。

せっかく文章を書くのだから練習のつもりで書こうというのはおすすめしません。気持ちはよくわかるのですが、文章の練習のつもりでモーニングページ(仮)に取り組むと、嫌になるか挫折するかします。モーニングページ(仮)は人に見せない文章を書く、貴重な機会だと捉えてください。考えてみれば、人に見せない文章を毎日3ページにもわたり書くなんて、めったにあることではありません。見方によっては、とても贅沢なことをしています。誰に読まれるわけでもなく誰に評価されるわけでもなく、ただただ文章を書くのです。万年筆の書き味を楽しみ、インクを減らすために書いている、くらいの気持ちで十分だと思います。

もう一つ、モーニングページにしつこいくらい「(仮)」をつけているので、効果は期待しないようにしましょう。正式なやり方ではないので、効果を期待してはいけないのです。私自身も、モーニングページ(仮)はあくまで万年筆を使うためと割り切っています。また、もし仮に『ずっとやりたかったことを、やりなさい』を読み込み、正式なモーニングページをやり方で実施したとしても、効果を期待しないほうが良いというのが個人的な見解です。

誤解しないでください。効果を得られないと言っているのではありません。効果を期待せずに取り組むのが、この手の類の自己啓発との向き合い方だと捉えています。私たちはついつい効果を期待していまいます。それで1週間くらい取り組んで、目に見える変化がなければバカバカしくなってやめてしまいます。ただ、冷静に考えると、1週間やそこらで変化が起こるわけがないと気付くはずです。何の効果もなく、期待される変化が訪れなかったとしても、コツコツと続ける人だけが成果をつかめるのだと思います。さらに変化は徐々に訪れるのではなく、一気に一度に訪れるケースが非常に多いです。それまでまったくできなかったことが、ある時急に出来るようになった。そうした瞬間を味わった人はきっといるでしょう。「その時」が来るまで何の変化も見られないのですから、続けるのは相当辛いことです。モーニングページもそうしたものの一つだと推察されます。

実は私は一時期、自己啓発本に凝っていたことがあります。100冊くらい読んで気づいたのは、(私を含め)誰も書いてあることを実行しない、実行したとしても続かない、当然効果も得られず変化もしない。だから、何冊も読むのだと気づきました(笑)。本当は一冊読んでそれを実行すれば十分なはずですが、それができないので何冊も読んでしまうのですね。ちなみに、世の中には自己啓発本を基にしたコンサルティングサービスを行っている企業もあります。コンサルタントの言っていることは、ほぼすべて自己啓発本に載っています。それでもコンサルティングを必要とするのは、いかに実行・継続が難しいかということの証左と言えるでしょう。

ちょっと話題がそれてしまいましたが、仕事でもないし、誰に言われたことでもない。そうしたことを実行するのも継続するのも、本当に困難です。だからこそ、尊く称賛に値すると考えられます。それだけで十分な変化ですし、すごいことだと思います。モーニングページ(仮)では、とにかく実行と継続のハードルを下げています。それでも容易でないかもしれませんが、万年筆を使うため、万年筆ライフを楽しむためのものと考えて、気軽に取り組んでいただければと思います。

書き出しは、こう書くと決めておく。

最後に、とっておきのコツを一つ。「書き出しは決めておきましょう」。文章でもっとも悩ましいことの一つは「書き出し」です。何をどう書こうかと、書き出しに悩むことは少なくありません。みんなが読む最初の一文だから、気合を入れて書こうとアドバイスされることも多いでしょう。

ただ、モーニングページ(仮)では、サッと勢いよく書き出すほうが望ましいので、書き出しはこう書くと決めておくのが良いです。前述している通り、人に読ませる文章ではありませんので、工夫する必要もありません。いつも同じ言葉で書き始めれば、悩むことなくサッと書き始められます。例えば、「●月●日のモーニングページを始める」くらいで十分でしょう。悩むくらいなら、この書き出し方にすることをお勧めします。私自身もいつも同じ書き出し方をしています。随分、書くのが楽になることは保証しますよ。

編集後記

とにかく書く、何でも良いから書き散らすためのツールとしてモーニングページ(仮)を紹介しました。あくまで文章への抵抗感をなくすことが目的なので、上達した・しないは考えないようにしましょう。少しでも挑戦しようという気持ちになったら、ぜひノートを用意して明日にでも早速、取り組んでみてください。

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