
万年筆の値上がりが止まりません。昨年も同時期に同様のことを書きましたが、どうやらこの1年でさらに万年筆の価格は高騰したようです。万年筆は以前から高級品でしたが、実はよくよく調べてみると、思ったほど高くはないという側面もありました。1万円も出せば国産の定番モデルは買えましたし、5万円で海外の名門ブランドに手が届きました。しかし、今はまったく状況が異なっています。改めて万年筆の価格の現状を提示すると共に、本当の「高級品」になってしまった万年筆とどう向き合っていけば良いのか、解説・提案していきたいと思います。
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価格は上昇の一途をたどっている
現状、万年筆の価格がどうなっているか、国内外の代表的メーカーの有名モデルの定価を列挙してみます(いずれも税込み、「万年筆のある風景」調べ)。
- カランダッシュ/レマン/17万7,100万
- モンブラン マイスターシュテュック146/12万3,200円
- アウロラ/オプティマ/10万4500円
- ペリカン/スーベレーンm800/9万9,000円
- ウォーターマン/カレン/6万6,000円
- パーカー/ソネット/5万2,800円
- パイロット/カスタム74/2万2,000円
- プラチナ/#3776 センチュリー/2万2,000円
- セーラー/プロフィットスタンダード/2万2,000円
※上記、海外メーカーの万年筆のペン先は18K。
国産メーカー(パイロット、プラチナ、セーラー)は14K。
いかがでしょうか。ちょっと目もくらむようなお値段ではないでしょうか。まず海外メーカーの万年筆を見てみましょう。代表的なモデルですと5万円を超えるケースがほとんどです。もちろん、探せば3万円台の万年筆も見つかるでしょう。しかし、海外メーカーの万年筆で5万円を切るものは、ペン先がステンレスやスチールなどです。つまり、少なくとも5万円をかけなければ、海外メーカーの金ペンは手にできないのが現状となっているのです。
なお、万年筆はペン先の種類が価格に及ぼす影響が大きくなっています。一般的にはペン先が、ステンレス→14K→18Kの順で高くなりますが、海外メーカーの万年筆は、14Kで10万円超、スチールで5万円超というケースもあります。このため、ペン先の種類をしっかりと確認してから購入するのが無難です。
国内のメーカーに目を転ずると、パイロット、プラチナ、セーラーは値段をそろえてきていますね。いずれも2万2000円でスタンダードモデルが手に入ります(ペン先は14K)です。海外メーカーと比べるとリーズナブルですが、2万円を超えている現状を鑑みると、気軽に手が出せるというわけではありません。

ネットを利用して安価に手に入れる。
万年筆価格の高騰を受けて、どうするか。値段など気にせず、気に入ったものを買えば良い、ということはなかなかならないでしょう。お気に入りの一本を見つけて長く使う、それ以外は買わない、というのも無難な選択肢です。しかし、一本持つと2本目3本目と欲しくなるのが心情です。その場合どのように対処すれば良いのでしょうか。
ここはやはり、ネット通販に頼るのが非常に有効な手段となるでしょう。ネットですと、書き味や実際の色味・デザイン、手に取った時の重さなどは知ることはできないものの、実店舗と比較して同じ製品を1~2万円も安く買えてしまうことが少なくありません。ネット通販が実店舗と比べて安価なのは、場所代や人件費を抑えられるなど一般的な理由のほかに、価格改定前の製品を扱っていることも考えられます。万年筆の価格が大きく変動したのはここ数年ですので、高騰するのものを元の価格で販売すれば、同じ製品でもプライスダウンしたように感じられます。結果として安く手に入るわけです(価格変動前の製品は実店舗でも稀に見つけることができます。店員さんが以前のもなんですけど、などと言って在庫の中から出してくれることがあるのです)。
また、中古品を買い求めるのも一つの手段です。中古品はネットはもちろん、実店舗でも入手可能です。店舗に足を運べば、実物を手にして書き味などを確認することができます。販売価格は、高騰する前の価格を基準にしていることも多いので、場合によっては現在の価格の半値以下で購入できることもあるでしょう。ただし、ネットや中古品を利用する場合は、信頼できる店舗での購入が大前提です。個人的には個人間取引きはどうしても敬遠してしまいます。販売している個人がどこまで万年筆に詳しいか不明なので、万年筆の正確な情報が手に入りづらいからです。反面、ここで紹介しているKINGDOM NOTE(キングダムノート)などであれば、品質の面などで安心感があり私自身、数回ネットを通じ購入しています(キングダムノートは実店舗もあります)。このほか、新品であればペンハウス 万年筆・ボールペンをよく利用しています。
万年筆と経済の話。
なぜ万年筆がここまで手の出しづらいものになったのでしょうか。実は単純に値段が倍になったから、物価高だから、というだけではありません。よく言われているように、物価高にもかかわらず、賃金が増えていないからです。万年筆の価格が倍になったという話をしましたが、給与が倍になったという話は、少なくとも私の周りでは、聞いたことがありません。
ただ、給与が倍になれば、今までのように万年筆を買うことができるかというと、そういうことにもならないのです。なぜなら、税金が上がり続けているからです。現在は入ってくるお金が上がっていのに、出ていくお金は増えている状況です。さらにいうと、安全にお金を増やす手段もなくなりました。以前は、といっても40年近く前のことになりますが、銀行の利子は5%超でした。5%というと、なんだか微々たるものだと感じるかもしれませんが、これがとてつもなくインパクトのある数値です。
例えば、毎年10万円を10年間積み立てたとしましょう。積み立てたというよりは、給与を銀行に預けっぱなしにしている状態を想像したほうがいいかもしれません。給与を銀行から出し入れしたとしても、月々10万円ほど残しておくのはそう難しくないはずです。すると、10年で約1470万円(半年複利)になる。複利の効果で約270万円も利子がつくのです。何の金融知識もなく、銀行に預けておくだけで約270万円ですよ。
ところが、1990年代後半から金利はゼロに近くなり、0.005%ほどなっていました。今は持ち直して、0.2%です。0.005%から0.2%は40倍で一気に利子が跳ね上がったように感じますが、5%に比べると微々たるものです。同じように月々10万円を0.2%の利子で10年間銀行に預けても、約1210万円(半年複利)にしかなりません。計算間違いではないです。10万円を10年積み立てても、利子が約10万円しかつかないのです。
時々「お金は銀行に預けておけば良い」という声を耳しますが、これは利子5%の古い感覚で言っていることでしょう。さらに利子5%のころは税金は今より低かったのです。こう言っては何ですが、利子5%時代を第一線の働き手として過ごしてきた今の60代以上とそれ以下では、お金に関しては感覚が合わないと考えられます。投資はギャンブルだと捉えられることもありますが、低金利、物価高、税金のことを考慮すると身を守る手段の一つと言えます。ギャンブルどころか、投資をしないことには経済的に安心して過ごせない、むしろ投資をしないほうがギャンブルに近いかもしれないくらいです。銀行の利子が5%なら、確かに投資などする必要はないかもしれません。しかし、そうではないから投資をするのです。
あとがき
最後は万年筆から話題がやや逸れてしまいましたが、お金については無視することができないので、私たちの置かれている現状を示しました。もちろん、万年筆は買うことが目的ではありません。そもそも万年筆を何本も持つというのは特殊な楽しみ方しれません。ただ、「新しい」万年筆を手にするのが難しくなっているのは事実であり、そのことに触れたいと考え、本稿を書いた次第です。