【文章講座】伝わる文章を書くために題名(タイトル)はとても重要

文章の題名(タイトル)をつけるのが苦手という人が多くいるようです。この場合のタイトルとは、キャッチコピーのように巧みな言葉や切り口で興味を引き付ける類のものではありません(キャッチコピーについては、別途どこかで取り上げたいと思います)。あくまで文章を通じ何を主張したいか明示するためのものです。新聞記事の見出しが近い概念と言えるでしょうか。今回はタイトルのつけ方を解説します。

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主張したいことは明確か。

タイトルをどうつければよいか、なぜうまくつけられないのか。その答えの半分は冒頭のリード文に出ています。それは、タイトルとは「文章を通じ何を主張したいか明示するためのもの」というところです。この認識を持つことが何より欠かせないのです。

タイトルをつけるのが苦手、タイトルが思い浮かばないという場合、主張が明確になっていないことが少なくありません。タイトルをつけられないのは、主張がないからだと言っても過言ではないほどです。この講座の中でたびたび言及してきましたが、主張がないことには文章は成立しません。すなわち、タイトルもつけられないのです。

それにも関わらず、文章をいきなり書きだしてしまうケースが非常に多い。白紙あるいは真っ白のパソコン画面に耐え切れなくなるのでしょう。気持ちはよくわかります。とにかく何でもいいので字を埋めたくなります。しかし、そこをぐっと堪え、自身の主張を明確にします。いえ、堪える必要はありませんでした。私たちには万年筆があります。思いついたことを片っ端からメモしていけばいいのです。万年筆を使う機会にもなりますし、そのメモが清書のために非常に重要な役割を果たします。メモすら書けない場合は「自分は何を言いたいのか」「●●のことだろうか」「そういえば、●●について思うところがある」などという具合に、自分の心情や考えていることを吐露するように、とにかく万年筆で書いてみてください。手を動かしているうちに、書きたいことが思い浮かんでくることもあります。

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仮のタイトルをつけ、必要に応じて後で手直しする。

書きたいこと、つまり、主張したいことが決まったら、それをそのままタイトルにします。キャッチコピーのようなタイトルでなくても構いません。それは次の段階と言いますか、よほど余裕が出た時にちょっと凝ってみる、というスタンスで良いと思います。うまいタイトルに固執する必要はそれほどないと思います。タイトルは非常に重要ですが、それはこなれた言葉を使えということではありません。重要なのは自分の言いたいことが明示されているかどうかということです。

タイトルを見て「この文章はこういうことを伝えたいんだな」と、読み手に瞬時に理解してもらうことを目指します。変に凝るよりストレートに言い表したほうが伝わったり、読んでみようという気にさせたりすることは往々にしてあります。

文章を書く時にタイトルがついていないと、何を書くことしているか自分でもわからなくなるから、とりあえずタイトルをつける。ただし、文章の書き出しでつまずくのも良くないので、あくまで仮のものとしてつける。文章を書き終え改めて全文を読んで、タイトルを変えたくなったら変える。もちろん、変えなくてもいい。ーーこの流れでタイトルを決定しましょう。

仮のタイトルをつける際のコツとして、「●●について」を避けることが挙げられます。理由としては、このタイトルでは主張が伝わらないからです。主張が明確でない場合に「●●について」とやってしまいがち。「●●について、私は●●と考える」ならOKですが、「●●について」でとどめるのは不可です。仮のタイトルをつける段階では、必ず主張を明確にすることを意識してください。最後の見直しの時に「●●について」のほうが適切だと判断する分にはかまいません。とはいえ、「●●について」はどちらかというとレポートや報告書に適したタイトルで、作文やエッセイにはあまり向きはしませんが。

なぜタイトルが重要なのか。

順番が少々おかしな気もしますが、最後にまとめとしてなぜタイトルが重要なのかを解説します。理由は大きく三つです。第一に、読み手は基本的に最初にタイトルを見るからです。タイトルを見て自分にとって興味・関心のあることか、知りたい情報があるかなどということを判断して、読む・読まないを決定します。第二に、スピード感を持って自分の主張を伝えたいからです。第一の理由に付随した内容ですが、タイトルだけを読む読み手も多くいるので、ともかくもタイトルで主張を伝えてしまいます。本文は読んでくれなくても、主張が伝えられたことを重視し、とりあえずは良しとします。

第三に、タイトルをつける・つけられないで、主張のある・なしを判断できるからです。タイトルをつけられないということは、まだ書きたいことが定まっていないということです。この段階では、清書することを控えます。メモを取りながら、言いたいことをまとめ、構成を考えます。仮のタイトルをつけられるようになり、構成も定まってから、書き出すようにしましょう。

今回お伝えしたかったのは、第三の理由です。タイトルは書き手が自身の主張を明確にする上でも重要なのです。この点をすっ飛ばして、ノウハウやテクニックでうまいタイトルをつけようとしてもつけられません。これは広告にキャッチコピーをつける場合も同様です。何を伝えたいか、定まる前にキャッチコピーを作ろうとするのは無理があります。まずは主張を明確にする。この点をぜひ覚えておいてください。

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