【文章講座】文章は「発見力+構成力」で、スラスラ書ける

持ち回りの作文やエッセイ、あるいはブログの文章、課題の論文など、書かなければいけない文章があるのに、筆が進まない、という状況はあると思います。書くことがあり過ぎて何から書いていいかわからないのならまだいいのですが、そもそも書くことがない、思いつかない、という状況は辛いものです。今回は、そんな書くことがなくて困っている、という人を対象になぜ「書けない」のか、その原因を探りながら、文章を書く技術を紹介します。書くことがなくて困った、という状況を脱し、よし書いてやろう、という気持ちになってもらえればと思っています。

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発見があるから、文章が書ける。

まずお伝えしたいのは、「文章力=発見力+構成力」と定義できることです。文章力というと、語彙や文法の知識と捉えられることもありますが、もちろんそれらも大事ですが、むしろ何を書くかを「発見」し、発見したことを「構成」する力が求められると考えてください。

発見力と構成力では、具体的に書く段階では構成力が重要になります。しかし、発見がなければ書くという具体的な行為に移ることはできません。すなわち、文章は発見があってはじめて書けるのであり、発見→構成の順番で進むのです。

発見がないと「何を書いていいかわからない」という状況に陥ります。別の見方をすれば、「何を書いていいかわからない」という状況に陥っているということは、書くことを発見できていないからだとも言えます。さらに言うと、文章の善し悪しの大部分は発見によります。同じことを書いても面白い面白くないはありますが、それも発見があってからこそ言えることです。つまらない発見はどう書いてもつまらない。書き方でごまかすことはできますが、それは文章力の本質ではないと思いますので、文章力を身につけたいと考えるのなら、発見力を伸ばすことを意識しましょう。

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発見するには、思い出すか調べる(取材)すること。

文章を書く上で発見は欠かせないのですが、ノウハウ本などにはあまり書かれていません。なぜなら、発見する方法を伝えるのはなかなかに困難だからです。具体的な文章の書き方、発見と構成で言えば、構成のほうがはるかに教えるのは簡単です。さらに、構成の部分で教える技術的なノウハウは、教えられるほうもわかりやすいし何となく勉強した手応えが得やすいので、どうしてもそっちによってしまうのです。でも、発見がないと書けませんよ。だって、何を書いていいのかわからないのだから!ということで、ここでは発見をテーマにするという難易度の高いことに挑戦します。文章を書く上で大事な力を養ってほしいですからね。

発見といっても、難しく考える必要はありません。世紀の発見をしろと言っているのではないのです。例えば、作文やエッセイを書く場合は、自分らしいものの見方ができればOKで、特別な能力は不要です。発見するコツは大きく分けて2つです。1つは思い出すこと。自分なりの考えや思い、あるいは体験を通じ感じたことを思い出します。もう1つは調査(取材)すること。調査(取材)を通じ自分なり気づきを得ます。レポートや論文はそもそも調査することが前提ですね。

書く材料さえ集まれば、後は意外とスムーズに進みます。少なくとも「書くことがない」苦しみからは解放されます。具体的に書く段階に入りますので、気持ちもかなり前向きになるでしょう。構成は大まかに言えば、何をどの順番で書くか決めることです。慣れてくると頭の中でも文章を構成できますが、最初のうちは紙に書き出して考えることを推奨します。最初にこれ、次にこれ、最後はこれ、とメモを取ります。書くのに慣れてきても、構成のメモを取ってから書く人はかなりいます。もしかしたら、構成をメモに取ってから書く人のほうが多いかもしれません。私自身も、ライターとして20年近く仕事をしていますが、いまだに構成メモを取ってから書き出しています。

構成については具体的な方法をしっかりとお伝えしたいのですが、別の機会に譲るとして、ここではさらに発見について深ぼっていきます(構成についてはここなども参考にしてください)。

発見のためにはテーマ(対象・題材)を設定し、絞りこむ(限定する)。

発見をするコツとして、思い出すことと調査(取材)することを提示しました。しかし、実はこれだけでは、重要な技術やノウハウを伝えきれていませんでした。その重要な技術やノウハウとは、テーマ(対象・題材)を絞る(限定する)ことです。テーマ(対象・題材)は絞れば絞るほど、発見に結び付きやすくなります。すなわち、書きやすくなる。「絞る」あるいは「限定する」はテーマ(対象・題材)に「何かを付け加える」ことだと捉えてください。インターネットで検索をする時も、単語一つだと対象が広すぎて、自分の求めていることになかなかたどり着きませんよね。感覚的にはあれと同じです。例えば、「万年筆」で検索すると何が出てくるかわかりませんが、「万年筆 おすすめ」「万年筆 使い方」「万年筆 モンブラン」などとすれば、対象がかなり絞れてくるはずです。さらに「万年筆 モンブラン おすすめ」とすれば、人によっては具体的なものが頭に浮かんでくるでしょう。これを文章に置き換えれば、万年筆だと対象がぼんやりとしていて何を書いていいかわからなくても、「万年筆 モンブラン おすすめ」とすれば、そうだあれを書こうとなるのではないでしょうか。

テーマ(対象・題材)が大きいとなかなか筆が進みません。もっとも困るのは何を書いてもいい、自由題というやつです。私は会社勤めをしていた時に、持ち回りで社内報のコラムを担当していたことがあります。コラムのテーマは自由で、何でもいいから書けということでしたけど、だからこそ、相当にきつかった。本当に読んでいる読んでいる人がいるのかもわかりませんでしたけど(笑)普段原稿を書く倍くらいの時間をかけて書いていました。。。一体何を書けば良いんだと悩みましたし、これを書けと指定してくれないかなと思いましたね。対処として、社内報なので要するに他部門のことが知りたいんだよね、ということが想定されるので、「ライター部門の仕事、人」などからさらにテーマを絞り込んで、コラムを作成しました。このように、自分で書くテーマ(対象・題材)を設定することが、文章作成の非常に重要な技術です。とてもシンプルですけどね。

イノセンスのマグカップ

ちょっと話がそれましたが、具体的にテーマ(対象・題材)を絞り、発見につなげる方法を紹介しましょう。例えば、「コーヒー」をテーマにするとします。この段階で自由に書けと言われるよりかなり楽なのがわかるでしょう。ただ、コーヒーだけで何かを書くのは難しいので、いろいろな切り口を考えます。今、私の机の上にコーヒーを飲むためのマグカップがあります。これだけでも既にコーヒーとマグカップに対象が限定されました。さらに、そのマグカップには犬の絵が描いてあるのですが、いっそのことマグカップは横に置いておいて、コーヒーと犬の関係を調べてみるほうがいいかもしれません。そうしたことはネットで簡単に調べられますし、興味深い発見をする可能性は十分にあります。面白い文章が書けそうではないでしょうか。他にも、コーヒーの色、匂い、産地、焙煎、保存などを切り口とすることも考えられます。

雨の公園。木々に雨に濡れている。

もう一つ、「雨」に例を挙げてみましょう。「雨」のままでは題材として大き過ぎます。そこで、自分の体験や知識を基にさまざまな切り口で考えてみます。「雨、梅雨、アンニュイ、そういえば、私の生まれ故郷の北陸は雨が多かったな。北陸の空は暗いことが多い。雨が降るとアスファルトの独特のにおいがする。あの匂いを書くと、ついいつも子どものころを思い出す。そうだ。『雨は故郷の匂いがする』だ」と、連想ゲームのように題材を絞り込みます。「雨」に「梅雨」「アンニュイ」「北陸」「故郷」などを付け加えながら、最終的には『雨は故郷の匂いがする』と発見をしたのでした。

文章を書く時は漠然と何かを書こうと考えていても、書けません。最大のコツ、技術、ノウハウは、自分の書きやすいほうに持ってくることです。テーマ(対象・題材)を自分で決め、自分の体験や知識を基に、あるいは調べ物をして、テーマを絞り込んでいきます。そうすると、文章が書きやすくなるのみならず、いかにも自分らしい文章がかけるようになるのです。

念のためですが、会社の調査書やレポートは書く内容が最初からかなり細かく決まっていると思いますので、それに従って書いてくださいね。あくまで調査結果の範囲内での発見を書きましょう。いちいち言う必要なないと思いますが。

発見を個性的なものにするために。

テーマ設定のテーマの絞り込みを行う時は、自分自身の経験や知識が反映されます。仮に調べ物をしたとしても、やはり自分自身の経験や知識、興味などが反映されますので、そこに個性が生まれます。さらにもう一押し、文章に面白みを持たせようとするなら、次の言葉を覚えておいてください。すなわち「人と同じことを思い、人と違うことを考える。人と同じものを見て、人と違う視線で見る」ということです。

「みんなはこう考えるだろう。だけど、こういう考えや見方もできるのではないか」と立ち止まります。ひねくれたものの見方をしろということではありません。でも、みんなが知っていることを今さら文章にしても面白くないですからね。時には常識や当たり前を疑ってみるのも大事です。自分なりの発見があるかもしれません。

繰り返しになりますが、大事なのは、自分の経験や知識のフィルターを通すことです。個性とは決しては変わっていることではないでしょう。自分の経験や知識を基に考えることが、個性的な自分らしい文章につながります。

まとめ

文章力は発見力と構成力で決まります。ここでは特に発見の部分にフォーカスを当てて解説しました。発見が面白いと面白い文章になります。反対に発見がつまらないと、構成力で多少のごまかしはききますが、やっぱりつまらないです。発見のコツは思い出すか調べる(取材する)ことで、この時、自分でテーマ(対象・題材)を設定し、自分なりの切り口で絞り込むことで、自分らしい発見に結び付きます。文章に個性を持たせるには、自分の経験や知識のフィルターを通すことが大事です。それこそが自分なりのものの見方をするということで、自分らしい文章につながります。それでは万年筆を持って、文章を書きましょう!

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