旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。本サイト「万年筆のある風景」はこれまでに多くのコンテンツを届けることが出来ました。これも皆様のご支援の賜物と感謝しております。
通常はここで去年の振り返りや今年の目標などを述べるのですが、それではあまり面白くないだろうということで、挨拶に変えて、2023年に万年筆または万年筆業界に訪れるだろう変化をはこうなる、みたいないことを書いてみようと思います。予想というよりは、こんなことが面白いかも程度のことです。その分を割り引いてご笑読いただければ幸いです。
自分だけの一本を作れる仕組みが出てくるのではないか、と予想します。万年筆の色や形をはじめ、ペン先の素材などを自分で選び(発注し)、自分だけの一本に仕立てます。オーダーメイドの服と同じような感覚で、自分に合った万年筆をオーダーします。この時、重視するのはデザインです。ネットでの発注を前提にしていますし、万年筆の購買意欲をそそるのはデザインだと考えるからです。オーダーメイド万年筆はもしかしたら、ゲームでキャラクター造形をする感覚に近いかもしれません。
万年筆の場合は、書き味を試したいということはあるのですが、14k、18kなどペン先も選べるようにしておけば、そのへんはクリアされるのではないでしょうか。そもそもネット通販を利用する時や限定物を購入する時は、書き味よりデザインを重視し、それで大失敗したということはほとんどないと思います。また、オーダーメイド万年筆に乗り出すとしたら、大手メーカーだと考えられますので(ぜひ実行していただきたいのですが)、品質については一定以上が担保されるはずです。
オーダーメイド万年筆(my万年筆、オンデマンド万年筆)が流行する
万年筆を「作る」楽しさを味わおう
今、多くの製品がオーダーメイドに応えられるようになっています。最近ではカシオの「MY G-SHOCK」が注目されました。デニムのオーダーで好きな位置に穴を空けられるサービスもあったはずです。テクノロジーの発展で、ネット上でもかなり正確に製品の色や形、大きさを確認できるようになっています。3D画像なども活用すれば、「仕上がりがイメージと全然違った」となることはまずないでしょう。
万年筆にもオーダーメイドの流れが押し寄せてきたら、業界が賑わうかもしれません。「色はブルー系であまり太さのない形状。キャップのクリップもブルーで統一」「将棋が好きなので、胴には将棋の駒を描いてほしい」「天冠には敢えてロゴを入れず、イニシャルにしてください」など、ちょっと想像をめぐらすとわくわくしてきませんか。コストとの兼ね合いもあってどこまで対応できるかはわかりませんが、作る面白さまで味わえたら、より万年筆が楽しいくなると思います。
さらに、オーダーメイド万年筆の良さは贈り物としても大いに活用できることです。通常は既製品をそのまま送るわけですが、それはそれでとても喜ばれると思いますが、そこにさらにあの人はクルマが好きだから犬が好きだからと、ちょっとデザインを入れ込み、また、小柄な方だから大きさは控えめに、などと注文ができれば、もっと喜んでもらえるかもしれません。贈り物としての万年筆の地位がさらに確立されるはずです。
今年も良い年に
2023年の万年筆の予想は以上です。と言いますか、オーダーメイド万年筆ができたらいいなとお伝えしたかっただけです(笑)。インクの分野では、気軽さや低コストですむことも相まって、自由に配合し好みの色を作れるようになっています。万年筆本体のほうも、同じような動きがあってもいいのではないでしょうか。
2023年の「万年筆のある風景」は万年筆に関わることや文章を書くことなどをテーマにますます多彩なコンテンツをお届けする予定です。当サイトを通じ、一人でも多くの方に、万年筆や文章を書くことの良さを一つでも多く感じ取ってもらえれば、これに勝る喜びはありません。
2023年 1月 Fujikawa Naoto