【文章講座】作文を上手に書くキーワード「カンカラコモデケア」
文章講座のタイトル

作文の構成を理解し、テーマが決まっても書けないことはあります。それは多くの場合、どういう内容を盛り込めば良いか不明だからだと推測できます。作文にふさわしい内容、要素とは何か。今回はこの点を解説します。キーワードは「カンカラコモデケア」。作文以外にも、エッセイやコラム、ちょっと一枚書いてという類の文章でも力を発揮します。非常に有用なテクニックですので、この機会にぜひ覚えていただければと思います

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作文は何を盛り込めば良いのかよくわからない。

作文は自由度の高い文章です。何を書いても基本的にOKで、ある意味でセンスが問われます。このため、書ける人には書けるし、書けない人は書けないとなってしまうのです。何を書いても良いと言われることほど、困ることはありません。これをテーマにこの内容を盛り込みなさい、と指示されれば意外と楽に書けてしまいます。

例えば、ビジネス文書は決まりの多い文章の典型です。よく「具体性を持たせるため『6W2H』をしっかりと書き込みなさい」などと言われます。「6W2H」とは、すなわちwhen(いつ)、where(どこで)、who(誰が)、what(何を)、 why(なぜ)、how(どのように)、whom(誰に)、How much(いくら)――です。一見面倒くさいようですが、「6W2H」について書いていけば文章は完成します。もちろん、書く順番や一文一文の読みやすさは問われますが、逆に言えばそれらにさえ気を付けていれば良いわけです。作文は一文の善し悪しの言う前に何を書くかから考えなくてはいけないので、大変さは増します。

何を書いて良いかわからないは、けっこう根深い問題です。もっとも良くないのは、その回答が提示されていない点でしょう。このため、作文はどこまでいってもセンス任せで、書ける人は書けるもの。センスのある人はセンスで書くので、何をどう書いているのか本人はあまり意識をしていません。結果として、体系化された知識がありませんでした。そうした状況に一石を投じたのが魔法のキーワード「カンカラコモデケア」だと、私は解釈しています。

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カンカラコモデケアは作文の道しるべ。

カンカラコモデケアとは何か。先に結論を示します。

「カン」ドウ(感動)

「カラ」フル

「コ」ンニチセイ(今日性)

「モ」ノガタリセイ(物語性)

「デ」ータ

「ケ」ツイ(決意)

「ア」カルサ(明るさ)

「感動」「カラフル」「今日性」「物語性」「データ」「決意」「明るさ」の頭の言葉を取ったもので、つまり、これら7つの要素を作文に盛り込めば良いという考え方です。「カンカラコモデケア」は私の発明ではありません。毎日新聞の元記者、山崎宗次氏が提唱しました。山崎氏は名物記者として名を馳せ、NHKドラマ「事件記者」に登場する「山さん」のモデルにもなったとか。管理職になり、学生向けの作文講座を無償で開いていたこともあるそうです。カンカラコモデケアがすべて文章に反映されていると、味わい深く読み応えのある文章となります。そのカンカラコモデケアをもう少し分解すると以下のようになります。

感動=心動かされたシーン、場面、出来事、思い出

カラフル=情景、季節感

今日性=いまの時代、流行、価値観などが時代遅れではない

物語性=(語り手にとっての)過去・現在・未来

     失ったもの、欠けているものを取得するまでの過程、成長の過程

データ=数字、(歴史的)事実

決意=未来への決意。自分はこうしていくという心の表れ

明るさ=前向きさ、暗いトーンではない

カンカラコモデケアは作文に盛り込むべき要素を分解して提示している道しるべと言うこともできます。具体的な使い方としては、例えば、「感動の要素としてはこの話を入れよう、カラフルはこれ、今日性はこう……」という具合にメモを取ります。カンカラコモデケアのメモがそろった段階で書き進めると、書くことに悩むことは圧倒的に減ります。また、「書く前にメモを取りなさいと言われても何をメモすればいいんだ」という不毛な事態を避けることもできます。そもそも、書く前にメモを取るのは大事なのだけど、何をメモとして残せば良いかきっちり指導しないのはちょっと乱暴なような気もしますけど。。。

一点、注意点としては道しるべとはいっても、カン・カラ・コ・モ・デ・ケ・アの順番に要素を入れるということではなく、また、要素の入れ方に強弱はあります。その辺が少々困難で、慣れが必要なところでもあります。詳しく見ていきましょう。

感動と物語性は全体の構成に関わる。

カンカラコモデケアのうち、扱いやすいのが、カラフル、今日性、データ、決意、明るさでしょう。カラフルは季節や風景(人工の建物などを含む)の描写をすることで概ね表現できます。入道雲、朝顔、紅葉、ステンドグラス、イルミネーションなどと記述するだけでも、文章が色づいてくるのがわかるかと思います。今日性は感覚的なところもあるのですが、古い価値観や一昔前の話題を持ちださなければまずはOKです。読み手は基本的に今を生きているので、「そんな昔のことを言われてもな」と感じさせないことが大事です。2~3年前の流行語を持ち出されても反応に困る、みたいな感覚です。

データは数値や歴史的事実なので、知っているか知らないかというだけ。ただ、あまり大げさに捉えなくても「友だちと遊んだ」を「5人の友だちと遊んだ」とするだけでも違ってきます。データに関しては具体性と読み替えても良いかもしれません。決意は「~したい」という一文を入れることで解決できます。作文の場合は文章の最後に書くと良いでしょう。明るさは、前向きな結論になっていれば良いというようなことです。「私はもうだめだ、消えてしまいたい」などと書かれては読み手も困ってしまいますからね。相当な技量があれば、後ろ向きな内容でも引き付ける文章を書けるかもしれませんが、手を出さないほうが良いでしょう。

一方、一定の技量を要するのが、感動と物語性です。難しいのは、感動と物語性が全体の構成に関わるからです。必要な要素だからちょいちょいと書き込んでおけばいいや、という類のものではありません。感動も物語性も文章全体で表現する必要があります。ただし、物語性については、こちらで紹介した基本的な作文の構成、つまり「起承転結」あるいは「現在・過去・未来」のフレームワークに則れば概ねクリアできます。そう考えると、感動が一番難しいかもしれません。感動するもの(テーマ)を自ら発見しなければならないからです。これをネタにすれば感動につながる、というものはないことはないですが、あまり安易に捉えすぎると安っぽくなり、文章全体が台無しになってしまいます。また、感動といっても、お涙頂戴の話を書けということとは異なります。読み手に、読んで良かった、引き込まれた、面白かった、学びや気づきがあった、と感じてもらうことが重要です。テーマ選びが大事で、書き手の体験や思いに左右されます。テーマ選びについてはこちらもぜひ参考にしてください。一読していただければ、きっと感動の発見につながるはずです。

カンカラコモデケアで書き上げた作文をチェック。

上記で少し触れましたが、カンカラコモデケアは山崎宗次氏が作文の技法として教えていた技術です。対象者は基本的には大学生のようで、つまり、カンカラコモデケアはマスコミ作文対策とも捉えられます。現状の詳しいことは不明ですが、新聞社の試験といえば小論文が多い中で、毎日新聞は毎年、作文を出題していました。そうしたことがあり、毎日新聞の記者だった山崎氏は作文の技法を教えていたのでしょう。

なるほど、確かに試験対策としてのカンカラコモデケアは絶大です。少なくとも、私がマスコミ試験を受けた2000年代初期は効果は抜群でした。私事で恐縮ですが、カンカラコモデケアを活用して作文に加え小論文の試験にもパスしています。ただ、マスコミ対策であることは間違いないとしても、カンカラコモデケアがマスコミ向けの作文でしか使えないかというとそうではありません。私は現在、ライターとして活動していますが、カンカラコモデケアを意識することもあります。特にエッセイ的な文章を書く時などはカンカラコモデケアの要素をちゃんと盛り込むようにしています。

また、人から「この文章を添削してほしい」と依頼を受ける時も、カンカラコモデケアが入っているかチェックします。そういう時の文章は多くの場合、何かの文集や冊子に載せる寄稿文です。寄稿文はその人の考えや活動内容、半生をつづったような文章が求められます。そうした時は、カンカラコモデケアは本当に有効です。

カンカラコモデケアは書き上げた文章を読み直し、推敲する時にも便利に使えます。カラフルを入れ忘れた、データがないまたは足りない、と気づけば、欠けている要素を書き加えて文章の質を高めることができます。書く前の下準備、書いている途中、書き上げてからの推敲、いずれの場合絵もカンカラコモデケアを意識しましょう。きっとあなたの文章はより良いものになるはずです!

まとめ

カンカラコモデケアは「感動」「カラフル」「今日性」「物語性」「データ」「決意」「明るさ」という作文に必要とされる要素を並べたものです。すべての様子が入っていると、文章に厚みが増し、味わい深い内容になります。文章の道しるべとして、書く前、書いている時、書いている後に利用できます。文章の全体的な構成については、こちらをご確認ください。その上で、カンカラコモデケアを意識すれば、執筆はスムーズに進むようになります。また、カンカラコモデケアは基本的に作文を書く技術ですが、他の文章にも応用は可能です。ぜひ試していただければと思います。

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