「半沢」にも出てきた万年筆。ビジネスで使用しても大丈夫?

少し古い話題になりますが、ドラマ「半沢直樹」で万年筆が重要な道具の一つとして出てきました。ボトルインクから吸引するシーンがあり、万年筆の愛好家としては「おお」と思ったのは言うまでもありません(笑)東京セントラル証券の森山雅弘(賀来賢人)に、半沢直樹(堺雅人)が「万年筆か。随分古いの使ってるじゃないか」というような声をかけます。実際、パッと見た感じですと「プランジャー式」で吸引しており、今の万年筆にこのタイプはほぼありません。古さを演出するための表現だったのでしょう。ただ、ストーリーの設定からすると、万年筆が作られたのは10年ほど前、2000年代か2010年代なので、その年代で「古い」万年筆とはならない……本当にどうでもいいことなんですけどね(笑)

ともかく、今どきそんな万年筆をよく見つけてきたな、と思ったのですが、なんと実存しているメーカーの実際のモデルを使用していました。つまり、同じものを使おう(購入しよう)と思えば使えるのです。「半沢直樹」の万年筆を手がけたメーカーはmasahiro万年筆製作所(静岡市)で、同社によれば、提供した製品は「M形吸入方式万年筆」とのこと。M形吸入方式は独自の方式で、プランジャー式とは異なるそうです。「半沢直樹」では小さなメーカーが廃業に追い込まれている設定でしたが、独自の技術で活動を広げるメーカーがまだまだたくさんあるのだと知りました。万年筆は本当に面白いです。

なお、万年筆の購入はキングダムノートできるとのこと。現在は品切れとなっていますが、納品予定ありだそうです。また、キングダムノート楽天市場店でも見つけられるかもしれません。

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万年筆はビジネス使用に向いているのかいないのか


さて、「半沢直樹」では万年筆を仕事場で、つまり、ビジネスに使用していましが、万年筆はビジネスシーンで使えるのでしょうか。万年筆の愛好家の多くは、どちらかというと、趣味の道具として使うこと多いと思います。その万年筆をビジネスシーンに持ち込んで大丈夫なのか。結論から言うと面白くもなんともないのですが、敢えて結論から言ってしまえば使えます。実際、私自身も使っていますしね。じゃあここで話はおしまい、では、なんの発展性もないので、向いている向いていないの観点で取り上げてみたいと思います。

前提として、現在は社内社外を問わず公式文書と書類を提出する場合、著名の部分を別にすれば、手書きで行われるケースが減っています。特に最近はテレワークの影響もあり、パソコンで文章を書いてそのまま送信する機会が圧倒的に増えています。このため、ビジネスシーンで使うと言っても、用途としては会議や打ち合わせに出席した場合の自分用の筆記で、万年筆で書かれた文字を見る対象者は基本的には自分です。こうしたことを踏まえ、ビジネスに向いている向いていないを考えてみます。

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想定されるデメリット

まずは、万年筆の愛好家としてやや消極的な姿勢ではあるのですが、あまり向いていないのではないかという観点で探っています。万年筆を職場で使おうとした場合に、抱きやすい不安点、想定できるデメリットを取り上げてみます。

◆インクが漏れる可能性がある。
今の万年筆はインク漏れは基本的にありません。ただ、100%大丈夫とは言えず、ごく稀にインクが漏れることもあります。私は10年以上使っていて、1回だけあります。めちゃくちゃ焦りましたが、影響としては自分のノートを汚すくらいでした。このほか、インクが漏れるのとは少し異なりますが、ジャケットの内ポケットに差していたら、キャップが外れてジャケットが汚れていたことがありました。こちらのほうが、注意すべき点かもしれません。

◆インクが切れやすい。
ボールペンに比べればインクの減りが速いのは間違いのないことです。ただ、出勤前や前日までにインクの残り具合を確認しておけば、ほぼ問題はないでしょう。また、インクカートリッジを持ち歩くという手もあります。「半沢直樹」では会社の自席でボトルインクからインクを補充していましたが、うーん、社内でボトルインクから補充するのは個人的には抵抗あります(笑)

◆汚れる。
汚れるタイミングとしては、インクを補充する時なので、仕事で使う上で心配することはほとんどないはずです。ただ、インクを補充した時にペン軸などについたインクをしっかりとふき取っておかないと、万年筆を手にした時に汚れがつく可能性があります。ふき取ることは簡単な作業ですので、あまり神経質になる点ではないですが。

◆字がにじむ。
万年筆のインクは乾くまでに一定の時間を要しますので、字がにじむのはある程度、仕方のないことです(「半沢直樹」にも文字が手にこすれてにじんでいるシーンがありましたね)。ただ、自分用のノートに書く分にはあまり気にする必要はないでしょう。また、使っているインクにもよりますが、それほど頻繁に字のにじみがあるわけではありません

◆複写式の用紙に記入できない。
ビジネス使用上の万年筆の最大の欠点は複写式への対応だと思っています。こればっかりは万年筆ではできません。できるかもしれませんが、適しているとは言い難いので、複写式には万年筆を使わないほうがいいと思います。とはいえ、機会は少ないですし、複写式への記述を求められたら、通常はボールペンを差し出されるものなので、書くのに困ることはまずありません。

以上、万年筆がビジネスに向かないと考えられる理由を取り上げました。総じて言えるのは、使わないほうがいいと言える積極的な理由をあまり見つからないということです。つまり、万年筆に興味を持ったら、どこで使おうか、仕事場にでも持っていってみるか、というのは十分にあり、ということです。

想定されるメリット

職場で万年筆を使う上での不安払拭は十分にできたと思います。ビジネスシーンでも十分に使い得る万年筆。使いたければ使いましょうということに尽きるのですが、より積極的に使いたい気持ちを高めてもらうためにも、使ったほうがいい理由、使った場合のメリットを考えてみたいと思います。

◆書きやすい。
書きやすさは、万年筆の王道の良さです。ボールペンと書き味ははっきりと異なります。最大の特徴は柔らかさと滑らかさ。書き手に負担を与えないので疲れにくい。書けば書くほど、違いを感じられるようになっていくでしょう。

◆ちょっとした違いを演出する効果。
多くの人がボールペンを使う中で、万年筆を手に取れば「おっ」と思われることも少なくありません。特にモンブランやペリカンは知名度も高く、ちょっとした違いを演出するには十分です。高級時計あるいはアクセサリーを身につける感覚と似ているでしょうか。ただ、高級時計やアクセサリーはあくまで演出に特化しているのに対して、万年筆は実用の道具としても優れています。

◆共通の話題で盛り上がる。
打ち合わせなどで万年筆を使っていると、愛好家または興味を持っている人から「万年筆ですね」と声をかけられることが稀にですがあります。話題とせずにはいられないと言ったところでしょう。もちろん、使っている人を見つけたら、こちらから話題を振ってもいい。アイスブレイクになります

◆自分の気持ちが高揚する。
何より、使っている自分の気持ちが持ち上がります。良い物、好きな物を使っていることで、自然と気分も変わってきます。万年筆を使うことそのものを喜びとできれば、打ち合わせや会議中にメモを取ることすら楽しくなります。個人的には、このことが一番大きいです。

まとめ

ビジネスの現場での万年筆の使用にメリットもデメリットもあります。は正直、ボールペンがあれば十分かもしれません。便利さでも言えばボールペンが勝ることも多いでしょう。しかし、敢えて利便性を一旦横に置き、自身の趣味・志向あるいは思い入れを優先する。仕事のシーンに、そんな小さな遊びがあっていいのではないでしょうか。期待し過ぎるもの良くないかもしれませんが、万年筆に思い入れを持つ者との出会いもないことはないです。ぜひ万年筆のある毎日を!

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