【万年筆】ウォーターマン パースペクティブ

今回ご紹介するのは、ウォーターマン(仏)のパースペクティブです。現在フランスに本社を置くウォーターマンは、元はアメリカのメーカーで、世界で最初に「毛細管現象」を取り入れたり、クリップ付きのキャップを生み出したりしたことで知られています。何より、デザイン性に優れ、洗練されたイメージを与えます(ウォーターマンの詳しい解説はこちらも参照)。中でも、パースペクティブは独自性にあふれ、見る人の興味を引き付けます。

スポンサーリンク

スタイリッシュな印象の万年筆

パースペクティブを目にした時、まず引かれるはその直線的な形態です。万年筆というと通常は樽型で、キャップをした状態ですと、中央部分がやや膨らみ、先端に行くほどに細くなっていくのが一般的です。一方、パースペクティブの場合はほぼ完全な円柱型です。細身でやや長いペン軸。とてもスタイリッシュなたたずまいで、人間で言えばシュッとしています。キャップをペン軸の後方に差し込んだ時は、細長のボディがより強調され、スマートさがより強調されます。キャップの天冠とクリップ部分にはウォーターマンの「W」が刻印され、ちょっとした洒落っ気を演出しています。

パースペクティブのキャップ
最新のパースペクティブは天冠とクリップのデザインに変更があったようです。写真のものは旧デザインです。

パースペクティブは見方や考え方、遠近法、透視画法、遠近図などの意味を持ちます。つづりはperspectiveで英語です(ウォーターマンはフランスのブランドですが、フランス語ではありません)。また、日本語で建物の完成予想図をパース、パース図と言いますが、パースペクティブを略して使っているようです。ウォーターマンも透視画法など建築系の意味合いで使っていると考えられ、ペン軸には幾何学的な模様が施されており、近未来的な都市空間を想起させます。直線だけで模様を表現しているのが、とてもスタイリッシュなのではないでしょうか。ウォーターマンのホームページに以下のように記載されています。

 

ボディからペン先まで彫刻を施した緻密なディテイルが特長のペンです。モダン建築や都市空間を想像させるモダンなデザインとすっきりしたシルエット。フランスらしい美しいデザインが魅力です。

パースペクティブは一般的な万年筆に比べると、一回りくらい大きくなっています。それでもゴツサよりスマートさを感じさせます。

スポンサーリンク

ペン先は硬め

青とシルバーのウォーターマン パースペクティブ
これまでは、パースペクティブの見た目、デザインについて紹介しました。ここからは、書く道具としてのパースペクティブを見てみましょう。一つの特徴として挙げられるのは、ペン先がステンレスであることでしょう。万年筆のペン先は大きく分けて2つあり、金とステンレスです。書き味は、金は柔らかく、ステンレスは硬いです。従って、パースペクティブの書き味は硬めで、万年筆独特の滑らかさは金のペン先に比べてやや劣ります。反面、筆記する際の手応えが感じられるので、ボールペンなど硬いペン先の筆記具に慣れている人にとっては使いやすいとも言えます。私自身もパースペクティブの硬い書き味がとても気に入っています。形状に目を向けると、万年筆のペン先にはほぼ必ずあるハート穴がありません。これもまたウォーターマンの特徴と言えるでしょう。

なお、金とステンレスでは、金のほうが価格は高いです。あくまで目安ですが、国内ブランドだと1万円、海外ブランドだと3万円を超えると金になる傾向があるようです(パースペクティブは正規で2万円台です)。また、金のほうが長持ちすると言われていますが、ステンレスも30~40年もつと言われているので、どちらも長期にわたり愛用できます。価格の差ははっきりとついていますが、一概に金がいい、ステンレスが劣るとは言えないところもあります。書き味については、好みの分かれるところではあるでしょう。

このほか、パースペクティブの特徴として、全体的にやや大きめということもあり、重たいことが挙げられます。手に持つとはっきりと重さを感じられるはずです。字を数行程度書く分には重さはほとんど気になりませんが、ノートにびっしり字を書いていると、少しずつ重さを感じてくるようになると思います。

パースペクティブから広がった

これはごく個人的な話ですが、パースペクティブはとても思い入れのある万年筆です。パースペクティブを持つまでは、万年筆は書く道具としてのみ見ていたので、何本も持ってみようとか、輸入物を手に入れようとかは考えていませんでした。しかし、万年筆を使っていくうちに、もう一本くらい持とうと思うようになり、どうせなら少し変わった感じのするものがいいと、パースペクティブに行きついたのです。このため、私はパースペクティブを見ると、当時のことを思い出し、なんとなくノスタルジックな気分になります。パースペクティブをモダンだ、スタイリッシュだ、近未来的なデザインだ、などと書きたてておいて、ここにきてノスタルジックというのは気が引けますが、、、私個人にとって思い出のたくさん詰まった万年筆だということでご理解ください。

ちょっと話がそれましたが、一本持ったらまた別のものを欲しくなるのは人間の正常な心理で(笑)また一本また一本と手持ちの万年筆は増えていったのです。その中で、パースペクティブはとても気に入ったので、色違いを一本ずつ持っています。ただ、不思議なもので、最初こそ一風変わった万年筆に引かれたのですが、次第にオーソドックスなものを好むようになりました。より正確には、モンブランやペリカンなどのいわゆる王道の万年筆です。そしてまた今度は、書き味重視で自分の手にしっくりくるものを求めようとしています。興味の方向がさまざまに変遷するのも、これもまた人間らしい、とは思います。

――以上、パースペクティブについて紹介させていただきました。デザインを重視するなら、パースペクティブは本当に面白い一本だと思います。書き味については好みの分かれるところなので、一度、試してみるといいかもしれません。価格帯は2万円台ですが、ネット通販では1万円台で手に入ることが多いです。参考までに!

【PR】

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事